令和 7 年都道府県地価調査結果 全国平均では、全用途平均・住宅地・商業地 4 年連続で上昇、上昇幅拡大

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東京圏住宅地の変動率(令和7年都道府県地価調査)

令和 7 年「都道府県地価調査」の結果が発表された。「都道府県地価調査」とは、国土利用計画法施行令に基づき、各都道府県知事が毎年7月1日時点における基準地の1㎡当たりの価格を調査し公表するもの。毎年1月1日時点における基準地価である公示地価とあわせ、地価トレンドを把握する指標となる。

令和 6 年 7 月以降の 1 年間の地価については、全国平均では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも 4 年連続で上昇し、上昇幅が拡大。三大都市圏は、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも上昇が継続し、上昇幅が拡大。しかし、東京圏及び大阪圏では上昇幅の拡大傾向が継続しているが、名古屋圏では上昇幅は、やや縮小した。

地方圏では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも 3 年連続で上昇。地方四市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)では 2 年連続で上昇幅がやや縮小したが、その他の地域では住宅地が平成 8 年から 29 年続いた下落から横ばいに転じた。

住宅地では、 東京圏の平均変動率は 3.9%と、5 年連続で上昇し、上昇幅が拡大。 大阪圏の平均変動率は 2.2%と、4 年連続で上昇し、上昇幅が拡大。 名古屋圏の平均変動率は 1.7%と、5 年連続で上昇したが、上昇幅はやや縮小した。 地方圏のうち、地方四市の平均変動率は 4.1%と、13 年連続で上昇したが、上昇幅はやや縮小。地方四市を除くその他の地域の平均変動率は 0.0%と、平成 8 年から 29 年続いた下落から横ばいに転じた。

つくば市の住宅地の基準地価

住宅需要は引き続き堅調であり、地価上昇が継続。特に東京圏や大阪圏の中心部において高い上昇を示す。また、リゾート地域等では、別荘・コンドミニアムや移住者、従業員向けの住宅需要を背景に、引き続き高い上昇に。流山市など、子育層の流入している地域が高い上昇を示している。東京23区の上昇率は、8.3%で県庁所在市では最も高い。

子育て環境が整備され転入者が多い地域である、茨城県つくば市。東京都心から50km圏に位置し、鉄道はつくば駅をはじめ市内に4駅を有するつくばエクスプレス線(つくば駅から秋葉原駅まで最速で約45分)が走っており、国等の研究・教育機関や大型商業施設が集積。保育施設の充実が図られ、令和6年4月には待機児童数0人を達成、地域子育て支援拠点の整備や子育てサポートサービスなどの子育て支援制度も整備され、令和5、7年では、全国の市の中で1位の人口増加率となるなど、子育て世代を中心に人口増加が続いている。

 

商業地は、 東京圏の平均変動率は 8.7%と、13 年連続で上昇し、上昇幅が拡大。 大阪圏も平均変動率は 6.4%と、4 年連続で上昇し、上昇幅が拡大している。いっぽうで、 名古屋圏の平均変動率は 2.8%と、5 年連続で上昇したが、上昇幅はやや縮小した。 地方圏のうち、地方四市の平均変動率は 7.3%と、13 年連続で上昇したが、上昇幅はやや縮小。地方四市を除くその他の地域の平均変動率は 0.6%と、3 年連続で上昇し、上昇幅が拡大した。店舗・ホテル等の需要が堅調であり、オフィスについても空室率の低下傾向や賃料の上昇傾向によって収益性が向上していることから、地価上昇が継続。マンション需要との競合が見られる地域では、引き続き高い上昇を示す。浅草など、インバウンドが増加した観光地等は、引き続き高い上昇率。最も上昇率が高い都道府県は東京都(11.2%)、県庁所在都市では東京 23 区(13.2%)となる。

東京圏商業地変動率上位(令和7年都道府県地価調査)

東京圏の商業地上昇率の上位10地点を見ると、都心エリアの上昇率の高さが際立つ。ホテルニーズの高い浅草はもちろん、渋谷区円山町や中央区銀座など繁華性の高い場所の伸びが大きくなっている。

浅草の仲見世 (筆者撮影)

地価がこれだけ上がっているということは、これから用地を取得して分譲がスタートするマンションは、さらに価格が上昇することになる。都心のマンション市場は、過熱感を抱かざるを得ないがこの状況は、当面続きそうだ。

令和7年調査 住宅地の変動率マップ

いっぽうで、人の集まる首都圏などの都市部と異なり利便性が悪く人口が弱含んでいる地域は、下落が目立つ。路線バスなどライフラインが脆弱な地域や場所は、今後も人口流出が続くと思われる。首都圏でも、熊谷市や坂戸市などで下落地点があり住宅価格の二極化は今後も進みそうだ。