7月度の成約は、対前年比―2.4%に回復 平米単価は前月から+4.8%
公益財団法人東日本不動産流通機構より、 2020年7月度の首都圏不動産流通市場の動向について発表がありました。成約件数は前年比でマイナスだったものの成約価格は前年・前月より大きく上昇しました。
2020年7月度の首都圏中古マンション成約件数は3,156件で、前年比マイナス2.4%と減少したものの4月(-52.6%)・5月(-38.5%)・6月(-11.0%)に比べるとマイナス幅が縮小。対前月の成約件数は、1.6%増加しており3カ月連続で成約件数は伸びています。
また、首都圏の平均成約価格は、前年同月比5.4%上昇の3,628万円。平均成約平米単価も56.03万円で+4.7%の上昇のです。価格は、前月比で2.5%上昇、平米単価は前月比4.8%の上昇となっており直近でも成約価格が上昇しています。
都道府県別で見ると、東京都の成約平米単価が前月比5.9%上昇の74.36万円、埼玉県が1.4%ダウンの32.07万円、神奈川県が4.9%上昇の46.02万円。千葉県は7.4%ダウンの27.64万円となっています。
成約件数は、埼玉県および千葉県が伸びている一方で、神奈川県、東京都は対前年同月比でマイナス。先月同様に、新規登録が昨年同月と比べ少なく1都3県ともに中古マンション在庫件数は減少しています。その中でも東京都の在庫件数は、ー9.4%と最も減少幅が大きく需給バランスの好転が価格上昇の一因になっているものと思われます。
4月~6月まで成約件数が大きく落ち込んだ都心3区(千代田・中央・港区)を見ると、令和2年7月度は、成約件数が209件と昨年と横ばいに。成約平米単価は前年比3.1%上昇、前月比8.3%上昇の平米単価120.13万円と持ち直してきています。
また、城東地区 (台東区、江東区、江戸川区、墨田区、葛飾区、足立区、荒川区)が前年同月比8.9%上昇の平米単価64.14万円に。城北地区 (文京区、豊島区、北区、板橋区、練馬区)が前年同月比13.7%上昇の平米単価74.21万円と大きく上昇。城西地区 (新宿区、渋谷区、杉並区、中野区)の前年同月比3.9%上昇の平米単価93.94万円、城南地区(品川区、大田区、目黒区、世田谷区)の前年同月比0.8%上昇の平米単価82.03万円と比べ上昇幅が大きい結果になっています。
都心アクセスが良好な割に、中古マンションの流通価格が比較的抑えられている城東・城北エリアに注目が向いているのかもしれません。
早く住み替えができるメリット 新築マンションの完成物件の動きも好調
中古マンションの価格動向が堅調なのは、需給バランス以外にも要因が考えられます。新築マンションの多くが、引き渡し時期が竣工後になる一方で、売主の事情がなければ引渡しは比較的スムーズ。現状の住まいの不満の解消を短期間に実現できます。
新築マンションの動きを見ても値頃感のある竣工物件の中には6月以降に資料請求件数が倍になった物件も出てきています。完成売りが多い新築一戸建ての成約も6月以降に大きく伸びています。5月に18,903件あった首都圏の新築戸建ての在庫は、7月末時点で 16,324件と大きく減少。住み替えニーズは、新型コロナウィルス感染拡大によって高まっています。
内閣府が8月17日に発表した令和2年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、新型コロナウィルスの影響で実質で前期比7.8%減、年率換算では27.8%減と1980年以降で過去最大となる落ち込みになりました。※名目GDPの成長率は、7.4%減(年率換算26.4%減)。
経済の悪化は、給与所得の減少など住宅購入動向にも影響を与えます。一方で、マンション、一戸建てともに在庫が減る中で大きく供給戸数が増える状況にはありません。
今をどう捉えるかは、いろんな考えがあると思いますが少なくとも中古マンション市場に関しては、新規の価格設定が慎重になっていることもあり活発に動いています。これからマンション購入をスタートする人は、新築・中古両面で物件をチェックしてみてはいかがでしょうか。