住宅ローンは、「世帯年収の4倍未満を希望」がトップ 住宅購入者と購入検討者に『住宅ローンに関する意識調査』をLIFULL HOME’Sが実施

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住宅ローンに関する意識調査

株式会社LIFULL(ライフル)が運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S」は、10年以内に住宅を購入し、住宅ローンを利用中(以降、購入者)の826名と5年以内に住宅を購入し、住宅ローンを利用予定(以降、購入検討者)の1,099名を対象に『住宅ローンに関する意識調査』を実施した。

「変動金利」を選んだ人の方が、結果的に低金利の恩恵を受けた。今後、マイナス金利が解除され、金利の上昇圧力が高まりつつある。そのような中、住宅ローン利用者・利用予定者は今後の見通しをどのように予測しているのか、また住宅ローン利用予定者はどのような観点で銀行を選ぶのか、購入者・購入検討者の意識を調査している。

購入者・検討者ともに前回(25年1月)調査よりも「固定金利」が増加。購入検討者の「4倍未満」の選択率が過半数に達する。(購入者)世帯月収に占める住宅ローン返済額の割合は、「3割以上」の割合が前回調査よりも増加。3割以上になると「もっと借入額を減らせばよかった」が「適切だった」を超える。

購入検討者の住宅購入に対する意向は、「住宅ローン金利が上がる前に買いたい」は前回調査より減少し、「住宅ローン控除(減税率)が変わらないうちに買いたい」が大きく増加。今後1年間の住宅ローンの見通しについては、「上昇」の予測は購入者49.0%に対し、購入検討者69.7%、前回調査よりも乖離広がる。

住宅ローンを払いきれるかの不安については、不安を抱いているのは購入者69.9%に対し、検討者93.2%。前回調査よりも乖離広がる。金利の上昇対策としては、何かしらの対策をしているのは6割。対策を取らない理由の最多は「特にない/考えたことがない」。購入検討者の銀行の選び方は、「金利の低さ」「保障付き」「借入可能期間」は年配層、「ペア団信」は若年層が支持している。

では、アンケート結果の詳細を見てみよう。

住宅ローンの種類 購入者・購入予定者ともに「変動金利」が最多も減少

現在組んでいる/検討している 住宅ローンの種類

購入者には現在組んでいる住宅ローンの種類、購入検討者には検討している住宅ローンの種類について聞いたところ、共に「変動金利」が最多となった一方で、その割合は購入者が64.1%(25年1月調査(以下「前回調査」):69.7%)、購入検討者が56.0%(前回調査:57.3%)と前回よりも選択割合が低くなっている。購入検討者の金利上昇への懸念は依然として強く、購入者でも同様の不安から一部固定金利への借り換えが発生しているようだ。

住宅ローンの世帯年収倍率

住宅購入者には住宅ローンを世帯年収の何倍で借り入れているか、検討者には何倍で借り入れる予定かを聞いたところ、購入者は「4倍以上5倍未満」が最多になった。また、購入検討者は「3倍以上4倍未満」が最多と、前回調査と同様の結果に。両者を見比べると、「4倍未満」までは購入検討者の方が回答割合が多く、「4倍以上」になると購入者の回答割合が上回る。

一方で、前回調査では購入検討者の2位は「4倍以上5倍未満」(前回調査:20.0%、今回調査:18.3%)だったのに対し、今回調査は「2倍以上3倍未満」(前回調査:17.2%、今回調査:19.5%)に。購入検討者は「4倍未満」の選択率が半数を超え(前回調査:49.1%、今回調査:52.5%)、多額を借り入れることへの不安が増大していることが推察される。

世帯月収に占める住宅ローンの返済額の割合

住宅購入者に対する世帯月収に占める住宅ローン返済額の割合については、前回調査と同様に最も多かったのが「2割以上3割未満」(37.8%)、その後に「1割以上2割未満」(32.8%)となり、「1割以上3割未満」が約7割を占める。一方で、「3割以上」の選択割合が前回調査:18.1%に対し、今回調査: 21.7%と増加しており、金利上昇の影響を受けて生活費が圧迫されている様子がうかがえる。

 

借入額に対する意識

続いて、世帯月収に占める住宅ローン返済額の割合別に借入額に対する意識を調査。世帯月収に占める住宅ローン返済額の割合が「1割以上2割未満」では「もっと減らせばよかった」の割合は17.7%だったのに対し、「2割以上3割未満」になると24.5%、「3割以上」になると39.1%にまで増加した。

住宅購入に対する意向

購入検討者に対し、住宅購入に対する意向を聞いたところ、「住宅ローン金利が上がる前に買いたい」と「住宅ローン控除(減税率)が変わらないうちに買いたい」(41.9%)が同率トップに。前回調査と比べると「住宅ローン金利が上がる前に買いたい」は-6.0ptと下がった一方で、「住宅ローン控除(減税率)が変わらないうちに買いたい」は+8.3ptと大幅に増加。また、「住宅価格の高騰が収まってから買いたい」の割合も前回調査から4.6pt増加しており、住宅ローン金利の上昇は規定路線とし、住宅ローン控除や住宅価格へ意識を切り替えている人が一定数いることがうかがえる。

 

住宅ローン金利の見通し

今後1年間の住宅ローン金利の見通しについては、「上昇」(「何かをきっかけに大きく上昇する」「ゆるやかに上昇する」計)の予測をした割合は購入者が49.0%(前回調査:48.1%)、購入検討者は69.7%(前回調査:68.3%)となった。購入者・購入検討者ともに「上昇」予測の割合は前回調査よりも増加している。

住宅ローンを払いきれるかの不安について

住宅ローンを払いきれるかの不安については、不安を抱いているのは購入者69.9%に対し、検討者93.2%。前回調査よりも乖離広がっている。「固定金利(全期間固定型)」以外の住宅ローンを利用している購入者に対し、金利の上昇に備えて行っていることを聞いたところ、何かしら対策をしているのは60.7%となり、完済への不安はありつつも、対策を打てていない人が一定数いることが判明。最も多かった対策は「新NISAやiDeCo」(33.8%)、「預貯金」も3割いた一方で、「繰り上げ返済」は16.1%しかおらず、経済の不透明感が強まる中、現金を保有しておきたい人も多いようだ。

調査概要 期間:2025年7月1日 ~ 7月8日 調査対象者:(購入者)10年以内に家を購入しており、住宅ローンを利用中の25~49歳 (購入検討者)5年以内に家を購入する予定があり、住宅ローンを利用予定の25~49歳 調査方法:インターネット調査 有効回答数:購入者826人、購入検討者1,099人 ※小数点第二位を四捨五入しているため、合計が 100%にならない場合がある。

 

編集付記  日米の相互関税交渉の目途もついて、10年物日本国債の金利は1.6%超に。政策金利の更なる引上げも、現実味を帯びてきました。金利上昇リスクについては、十分な備えが必要だと思います。アンケート結果を見ると、借入額を抑える選択をしている人が多いですが、賢明な考えだと思います。