大手町タワー(大手町の森)が第6回グリーンインフラ大賞「国土交通大臣賞」を受賞

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大手町の森

東京建物株式会社が運営する大手町タワーが、グリーンインフラ官民連携プラットフォーム(国土交通省主幹)が主催する第6回グリーンインフラ大賞において、最高位である国土交通大臣賞を受賞した。グリーンインフラ大賞とは、グリーンインフラに関する優れた取り組み事例を表彰し、広く情報発信することで、グリーンインフラに関する取り組みの周知を図る2020年に創設された顕彰制度。大手町タワーは、敷地面積の約3分の1に相当する約3,600㎡の都市緑地「大手町の森」を整備。2013年8月に完成してから10年以上の間、本物の森を目指した維持管理を継続しながら、心地よさを生かしたイベントを毎月開催しているほか、森に近接する通路は常時開放されており、周辺オフィスワーカー、来訪者に緑に親しむ機会を創出していることが評価され、今回の表彰に至った。

大手町の森は、大手町タワーの敷地の約3分の1に広がる緑地であり、千葉県君津市内の山林で約3年間をかけて実際に木々や草花を育成する「プレフォレスト」という手法をとり、建物の竣工にあわせて土壌や植物を移植。竣工以来、自然の森に近い形での管理を継続しており、皇居外苑など周辺の緑地も含めたエリア一帯で生態系ネットワークが形成している。

敷地内は開発前後の比較で平均1.7℃気温が低下するなど、ヒートアイランド現象緩和効果もあり、高層ビル群に囲まれた「本物の森」は来街者の憩いの場となっている。また、土壌や貯水槽を活用して雨水を一時貯留することで、ゲリラ豪雨の際に内水氾濫等を防ぎながら、潅水へ再利用している。

2013年に107種であった植物類は、その後、日照を好む種が減少し、日陰を好む種が増加する等、環境に合わせた適者生存・競争の結果、2021年には208種となった。この中には、シロヤマブキ、ヤマブキソウ、アスカイノデ、イカリソウなど、国や東京都のレッドリストに掲載される希少種も含まれいる。また、昆虫類では同様にウラナミアカシジミ、セスジイトトンボなど計129種、鳥類はオオタカやハヤブサなど計13種が確認されている。

大手町の森では、ウェルビーイング向上の観点から、来街者に心地よく大手町の森で過ごしてもらうことを目的とした、さまざまなイベントを企画・開催している。生態系を保全するとともに、都心における緑地整備の重要性や生物多様性に興味・関心をひろげる取り組みを推進している。

森の市

例えば、忙しい都市生活を過ごすビジネスパーソンのために、自然と人が融合し、ライフスタイルが進化する場を提供する企画を「森の市」と名付け、これまでエシカルな商品を扱う縁日・マーケットや、森の植物から着想を得たオリジナルカクテルを提供する「森呼吸(しんこきゅう)BAR」を開催してきた。

大手町の森では、東京建物と国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所が共同で、都市緑地が人々のウェルビーイング向上に与える影響を科学的に検証することを目的とした研究を行っている。本研究では大手町エリア周辺のワーカーを対象とし、ストレスホルモン、交感神経活動等のバイタルの計測および質問紙を用いた心理調査によって、大手町の森への滞在が身体的・精神的健康に与える影響を調査・分析することで、近年注目されている都市緑地が人々のウェルビーイング向上に与える影響を科学的に検証している。また、ヒートアイランド現象の緩和効果の調査分析等を行うことで、都市緑地の多面的な価値を定量化・可視化することを目指している。

大手町タワー概要
所在 : 東京都千代田区大手町一丁目5番5号
敷地面積 : 11,037.84㎡
延床面積 : 約198,000㎡
階数 : 地下6階・地上38階・塔屋3階
高さ : 約200m