4月13日に始まった大阪・関西万博も残すところあと50日余り。お盆期間中は、入場者数が15万人を超える日が出るなど賑わいが続いています。筆者は、開幕日の夕方から3日目の夕方まで丸2日間、大阪・関西万博を見学。2回目となる今回は、故郷への帰省とあわせ8月14日・15日の2日間、万博会場を訪ねました。筆者の最初の訪問の2日目・3日目は最も入場者数が少なかった時期。人気パビリオンが比較的容易に予約ができた1回目と比べ2回目は、7日前抽選の落選や4日前先着予約ができないなど大苦戦しました。
人気パビリオンを回るための必勝法である9時入場枠が現時点ですべて完売。一日の行動計画を立てるのがとても難しくなっています。今回は、計5回、大阪・関西万博を訪ねた筆者が考える、万博の楽しみ方を紹介します。
前日の鉄道トラブルで、開場時間が30分超遅れ イタリア館は、3時間待ち!
2回目の大阪・関西万博を訪ねた大きな理由の一つが、1回目の訪問時に見学できなかったイタリア館を訪ねること。カラヴァッジョやダヴィンチなどイタリアを代表するアーティストの作品や制作ツールを見学するまたとない機会。今では、6時間待ちを覚悟しないといけないとも言われています。筆者は、6時1分の岡山駅発の新幹線に乗車し、新大阪駅経由で7時過ぎに大阪駅へ到着。ホテルで荷物を預け、大阪メトロ御堂筋線の本町駅で乗り換え大阪メトロ中央線で夢洲駅へ。東ゲートに到着したのは、8時過ぎでしたが、既に多くの人が並んでいました。
前日の鉄道トラブルで、開園時間が10時になるとのアナウンスを知ったのは、新大阪駅へ着いてから。10時入場チケットとの混乱を避けるため、入場が早まる可能性があるのではと思ってました。結果、9時半過ぎに開場が始まりお目当てのパビリオンに向かって歩き出していきます。
筆者が、イタリア館に到着したのは10時前。大屋根リングの下で既に多くの人が列をなしており、最後尾には、待ち時間2時間以上のプラカードが。結果的に3時間待つことになりました。翌日の11時半ごろに最後尾のプラカード係の人に「この位置でどのくらい待ちますか」と尋ねたところ、前日は6時間待ちだったとのこと。要するに、9時入場ではなく10時以降の入場でイタリア館を見学するためには、6時間は待つということ。かなりの覚悟か必要でしょう。筆者が展覧会で3時間も並んだのは、2016年に東京都美術館で行われた「生誕300年記念 若冲展」以来。開催期間が約1か月と短く、若冲ブームもありものすごい人気でしたが、それを上回る人気です。
パビリオンの中は、展示スペースが広く、古代ローマ時代の彫刻「ファルネーゼのアトラス」やカラヴァッジョの傑作「キリストの降架」などがゆったりと見れます。また、レオナルド・ダ・ヴィンチの「アトランティック手稿」からの貴重な素描4点も。こちらは、長蛇の列で写真は1点のみというルール。撮り逃しないように、係りの人が動画の撮影を奨めていました。
また、1920年に飛行家アルトゥーロ・フェラーリンがローマから東京への初飛行に使用した飛行機の骨組みも展示されています。ドメニコ・ティントレットによって描かれたヨーロッパにおける日本初の外交使節団を率いた「伊東マンショの肖像」も展示されるなど、日本とイタリアとのつながりを示す展示も多くみられます。大きなキャンバスに描かれたカラヴァッジョの「キリストの降架」は、素晴らしくこれを見るだけでもイタリア館を訪ねる価値はあるでしょう。
午後は、当日予約ができたブルーオーシャンドームと、2ヵ月前予約が済んでいた大阪ヘルスケアパビリオンへ。空き時間には、開場が遅れたインド館を訪ねました。ブリーオーシャンドームは、紙管と竹の集成材、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)で構造がつくられ再生しやすく廃棄物を出さないつくりに。筆者は、神戸大学工業化学科卒で40年前、CFRPが次世代の素材として注目されていたので、懐かしい気持ちになりました。設計は、ブリツカー賞の受賞歴のある坂茂。構造が軽いので、杭が不要で移設がしやすく会期終了後は、モルディブで進められているプロジェクトの敷地内に移設予定となっています。地球環境を考えるスクリーンの映像も素晴らしかったです。
大阪ヘルスケアパビリオンでは、リボーン体験をしました。カラダ測定ポッドで、7つの項目の健康データを測定。25年後の自分(アバター)と出会うことができます。なかなか衝撃的な結果だったのですが、健康への意識は高まりました。ミライのヘルスケアやミライの都市といったコーナーもあり、1時間ぐらいは楽しめる空間。小学生以上の子どもにも好奇心を広げる良い機会になる思います。
食事は、お昼をサスティナブルフードコート 「大阪のれんめぐり~食と祭EXPO~」で。くるるのコナモンセットの単品1300円を食べました。会場内には、各国のパビリオンなど食事をとれるスペースは、そこそこありますが、時間の余裕を考えると大屋根リングの下の椅子やスペースでおにぎりなどを食べるのもありだと思います。
夜は、水上ショーと花火を大屋根リングの上から 至近距離の花火は圧巻!
待ち時間を含め、イタリア館だけで4時間を費やしたので、4つのパビリオンですでに夕方に。日差しはきつかったですが、大屋根リングの下は案外涼しい。ベンチも置かれているので、数人なら空スペースも。また、これからは人気のパビリオンは、長時間並ぶのが避けられないので椅子は持参しておいた方が良いでしょう。
午後7時台には、水と空気のスペクタクルショー 「アオと夜の虹のパレード」が「ウォータープラザ」の水上で行われます。幅約200メートル、奥行き約60メートル、ショーエリア面積約8,800平方メートルの巨大な舞台空間。チケットを今からとるのは難しいですが、大屋根リングの上からもショーが見えます。
さらに、ショーが終わるとウォータープラザから大屋根リングを抜けた先の海上で花火が打ち上げ。リングの上から見上げる花火は、体に降ってきそうな近さ。子どもの頃に見た、田舎の花火大会を思い出しました。当日は、天候が悪くドローンショーは中止でしたが、夜のイベントを楽しめるのは、親子連れにとって魅力でしょう。
9時台の予約枠が埋まっており2ヵ月前予約も終了しているため、人気パビリオンを効率よく回るのは、これからは難しいと思います。それでも、スケールの大きな大屋根リングや様々な世界の文化に触れる機会は、子供にとってまたとない機会。アクシデントが無ければ、夜も十分楽しめます。
大阪・関西万博が初めて開かれたのは、1970年。当時、3歳だった筆者は、両親に連れられて万博会場を訪ねたようです(ほぼ記憶にない)。1歳の弟を祖母に預けて見学したと最近聞きました。父は、地元食品メーカーの普通の会社員で、母は自宅でミシンを使って内職をしていました。裕福な家庭ではありませんでしたが、いまさらながら感謝の気持ちでいっぱいです。
2025年2回目の万博見学を終えての感想は、約6か月間の壮大なお祭りであるということ。会場の建物は、会期終了後には、解体されてしまいますが人々の記憶には残ることでしょう。言い換えれば、フェスを長期間ぶっ通しでやっているようなもので、運営者の皆さんには頭が下がります。
予約状況を見ると、10時台ならまだ枠が残っている日も。3歳以下は無料で、11歳までは1日1800円、平日なら1500円で入場可能です。これからの日本を考えると、このスケールで万博を行えるのは、これが最後かもしれません。この記事をご縁に、子供と一緒に見学を検討していただけると幸いです。
お知らせ・・・後編は、8月22日頃にアップ予定です。