公益財団法人日本デザイン振興会主催する「2023年のグッドデザイン賞」が発表になりました。総合的なデザインの推奨制度として、50年以上にわたり「よいデザイン」を顕彰しています。企業ごとに、本年の主な受賞作を紹介します。(2023年10月6日更新)
「SHIROKANE The SKY(白金ザ・スカイ)」・・・東京建物ほか
「安心して快適に暮らし続けられる、やすらぎとゆとりのあるまち」の実現を目標にした約 1.7ha に及ぶ区域の再開発事業。 都市構造上の課題を抱えた区域を街区再編し、道路等基盤施設の整備・拡充、古川沿い歩行者通路等の整備を行い、住宅・商業・工場・病院等の多機能が融合した魅力ある複合市街地を創出。
デザインのポイントとしては、住宅・病院・工場といった既存都市機能の維持・更新を図るとともに、街区再編を行う都市環境計画。古川沿いの冠水対策と緑豊かな歩行者空間整備により、防災機能改善と賑わいと憩いのオープンスペース創出。周辺地域への圧迫感の軽減に配慮した配棟と街並みへの調和、「白金エリアの新たな顔」となる都市景観をつくった。
※東京建物、長谷工不動産、住友不動産、野村不動産、三井不動産レジデンシャルの共同受賞。
「パークホームズ深沢七丁目」・・・三井不動産レジデンシャル
歴史ある高級邸宅地として知られ、桜の名所としても名高い「深沢七丁目」の立地を活かした総戸数 31 戸、地上3階建ての低層レジデンス。「桜と木漏れ日が織りなす深沢邸宅」をコンセプトに、「旧新町住宅分譲地」としての歴史を継承しながらも、桜並木や深沢の杜緑地と調和する外観・豊かなランドスケープで、洗練されたゆとりある邸宅を目指した。
デザインのポイントととして、大きく張り出した袖壁や深い軒、彫りの深い開口部、あたたかみのある木調素材で「邸宅」としての格調を表現。この地で愛され続ける「桜並木」に面する立地を活かした、周囲と響き合う豊かなランドスケープ計画。景石やアプローチの石壁、水の流れをモチーフにしたガラスアートで、深沢の「沢」を感じられる空間を演出。
「ジオ杉並松庵」・・・阪急阪神不動産
杉並区松庵。良質な戸建てが建ち並ぶ第一種低層住居専用地域に位置。そんな街並みに地域最大ボリュームの建築物を環境と調和させながら、埋没させることなく地域の価値を高める存在となる建物を目指し、デザイン。
「クレヴィア大泉学園」・・・伊藤忠都市開発
東京都練馬区のファミリー向け分譲マンション。『DIVERSITY BASE』をコンセプトに、利便を享受しながら、良質な住環境とコミュニティを求める方に向けた多様性のある邸宅を目指した。建物全体を日本の伝統家屋を象徴する木目格子や外壁の左官調仕上げ、現代的なガラス手摺の構成により、伝統と現代モダンを組み合わせたデザインとしました。バルコニースラブの軒裏を杉板本実型枠で仕上げ、温かみのある木目をデザインし、格子が光や風を通しながらも、設備機器が露出しないよう配慮。基壇部の重厚感と上層の透明感を併せ持つ、街並みに存在感を際立たせながらも圧迫感のない建物に。共用部には、様々な生活シーンで活用され、住人同士の交流の場となるコミュニティラウンジを設置。テレワークができる「個室空間」、小さな子供でも安心して利用できる「こあがり空間」、少人数で集まれる空間など、利便性や環境、働き方、コミュニティとしての高い機能を備えた。
デザインのポイントは、建物全体を木目・左官調の仕上げで包み込み、伝統とモダンを組み合わせたハイブリットなデザイン構成。新しいビジネス創造の拠点として機能するテレワークブースを併設したコミュニティラウンジ。街並みに潤いを創出する植栽計画と中庭を住空間のクロスポイントとした柔らかな光や風が流れ込む空間構成。
「シエリアシティ明石大久保 」コミュニティHUB・・・関電不動産開発
シエリアシティ明石大久保の計画地は、明石市と民間の協働により長年に渡って構築してきたJR大久保駅南地区における一体開発の最終街区。JR大久保駅南地区の従前は大規模な工場跡地で、良質な住宅を中心に広域的な商業施設と教育施設等を複合した新しい都市拠点として、良好な街並み形成を目指してきた。受賞したコミュニティHUBは、シエリアシティ明石大久保における共用施設を備えた木造共用棟。計画にあたって、本共用棟がまちの誇りとなり、地域コミュニティ形成の核となることを目指した。まちとの繋がりを重視し、各マンション棟に加え周辺施設からのアクセスに配慮した配棟計画に。ファサードデザインやテラス等においても内外の繋がりを生み出す工夫を凝らし、好奇心をくすぐられるオープンな場を創出している。また「もえしろ設計」と呼ばれる工法を用いることで主要構造部をすべて木材による架構で構成し、内部空間も可能な限り本物の木で造ることにこだわることで、木のぬくもりが感じられる空間とし、脱炭素社会の実現に資する共用棟を実現した。
「ローレルスクエアOSAKA LINK」・・・近鉄不動産
「ローレルスクエアOSAKA LINK」は、梅田・新大阪に隣接する「淡路」エリアに立地する、子育てファミリーが多く住まう総戸数393戸の集合住宅。建物をセットバックして緑地空間を作ることで開放感を、歩道を作ることで安全性を確保。セットバック部分には民地内遊歩道やオープンスペースなどを作ることにより、地域の人々も安心して通行できるように。ラウンジやキッズコーナー、スタディルーム等をつなげたシェアスペースをつくり、多世代が自然と集い交流し、子供が孤立せず放課後を安心して過ごせるような工夫も。
「ラ・トゥール大阪梅田/梅田ガーデンレジデンス」・・・住友不動産
高級賃貸マンション「ラ・トゥール大阪梅田」、分譲マンション「梅田ガーデンレジデンス」、ホテル「ヴィラフォンテーヌ グランド 大阪梅田」、商業施設など、多様な都市機能を有する超高層複合再開発タワー。(街区名称:梅田ガーデン)大阪駅至近の旧大阪北小学校跡地に建設された本物件は、地上56階、高さ191m、延床面積約10万8,000㎡の規模を誇る。開発に伴い、狭い路地を一方後退で拡幅し「並木道」を設けることで、回遊性を高めて沿道店舗の活性化を目指すとともに、多様なイべントを想定し解放感のある「青空広場」を計画。木漏れ日の落ちる並木道は街の景観に寄与し、賑わいを創出。従来の町並みとも親和性が高く、高い評価に。また、従前建物のファサードデザインを引き継ぎ、親しみ湧く「地域のシンボル」となる建物を目指した。
「ライオンズ京都御所南レジデンス」・・・大京
「ライオンズ京都御所南レジデンス」は、京町屋など老舗が残る二条城東側の、中心市街地でありながら閑静な住環境に位置し、京都市の新築分譲マンションで初めて「ZEH-MOriented(ゼッチ エム オリエンテッド)」の仕様となる集合住宅。京都の歴史的な街並みに調和し、伝統を未来に引き継ぐ新たな外観とするため、軒の水平ラインを強調し縦格子をランダムに配置したほか、庇や梁の形状を工夫。また、柱や壁の存在感を軽減し、エントランスホールでは、やわらかな光とその向こうの風景が透過する障子などの伝統的な手法を用いて「透き」を生み出す日本的なデザインとした。さらに、公園に面する開放的な角地という立地を生かして実現した大きなガラス開口と、建物内に設けた三つの光庭(吹き抜け)で採光と通風を確保している。
「リビオシティ三国ヶ丘」・・・日鉄興和不動産
堺市を代表する文教地区・三国ヶ丘。堺市と姉妹都市で、世界的な学術都市であるカリフォルニア
州バークレー市の大学図書館をモチーフにしたブックラウンジなど、「学び」をコンセプトとした共用棟「ライフラーニングキャンパス(LLC)」 をマンション敷地内に 配置。337 世帯が子どもから大人まで「学び」を軸にコミュニティ形成ができる仕組みを提供。 337 家族の大人も子どもも「学び」のサイクルを通じて生涯学べる共用棟 LLC を企画し、三国ヶ丘の街の価値をより高め、堺市の歴史・文化を継承する役割を担う建物を計画。
プラウド白金長者丸・・・野村不動産
「プラウド白金長者丸」は、目黒・恵比寿エリアの低層住宅地に立地。線路沿いという立地を逆手にとり、電車からの視認性を意識した「PC コンクリート※1 によるファサード」、バルコニーを室内に内包した「コンサバトリールーム」、音環境が有利な地下に「エントランススタジオ」を計画し、喧騒ある都心における集合住宅の一なの在り方を提案。
ザ・パークハウス 自由が丘ディアナガーデン・・・三菱地所レジデンスほか
「ピアース渋谷」・・・モリモト
再開発により刷新される渋谷桜丘に建つ集合住宅。前面道路へのスケール感に配慮しながら、新しい渋谷中心部のイメージと呼応するようなランドマーク性と、ランダムに傾きを変える高輝アルミパネルのバルコニー手摺が季節や天候によって表情が変わることで親自然的な感性に働きかける集合住宅の佇まいを構想。
上記のほかに、「アトラスシティ世田谷船橋」(旭化成不動産レジデンス)など様々な企業が受賞しています。グッドデザイン賞受賞作は、優れたデザイン性に加え流通マーケットでも認知されやすく資産価値にも影響します。受賞作は、今後もアップしていきます。