「見せる防災・しまう防災」導入マンション竣工 「プラウドタワー平井」を見学

マンション探訪記
「プラウドタワー平井」の防災倉庫内の「見せる防災」例

野村不動産が第 5 回日本子育て支援大賞を受賞した取組み「見せる防災・しまう防災」を導入した「プラウドタワー平井」が竣工しました。「平井五丁目駅前地区第一種市街地再開発事業」で誕生する地上約110m29階建て総戸数374戸の大規模タワーレジデンス。地権者からの要望もあり、基礎免震構造を採用。電気室を2階に設けるなど防災性に優れたマンションです。1・2Fは商業施設、3Fは子育て支援施設(認可保育園)、5F以上に住戸を配置した施設構成です。

「プラウドタワー平井」の外観(筆者撮影)

野村不動産は、マンションにおいてハード・ソフトの両面で災害に備える住まいを実現するための「住まいの防災」のコンセプトのもと、災害への備えをより身近なものとし、在宅避難に備える提案である「見せる防災・しまう防災」を導入してきました。在宅避難への備えの拡充や防災意識向上に寄与することを目的とし、2024 年 10 月以降に設計を開始する新築分譲マンションシリーズ「プラウド」の原則全物件に導入する方針です。

「プラウドタワー平井」のラウンジ内の「しまう防災」例(筆者撮影)

普段目に入りにくい場所に保管されている防災グッズや備品を普段から利用する動線上の一部に保管することで、有事の際にすぐ対応できるように意図した取組み。普段から防災グッズを目にする子どもたちも防災に対する関心が生まれ防災意識向上に寄与することが評価され、日本子育て支援協会が主催する、第5回日本子育て支援大賞を受賞しています。

壁面のパネルで、機器の使用法や手順をわかりやすく表示 持ち運びも可能

「プラウドタワー平井」の防災倉庫内(筆者撮影)

多くのマンションでは、災害時にどう行動するのか防災マニュアルが用意されています。とはいえ、誰もが災害時にマニュアルに沿って行動できるわけではありません。また、最近では築年数が経っていなくてもオーナーが変るケースも多く、防災のノウハウが引き継がれないのが実情です。

「プラウドタワー平井」の防災倉庫の機器(筆者撮影)

「見せる防災」では、防災倉庫に掲示された「初動対応」「ライフラインが戻るまでの被災生活」など災害時の行動がわかりやすく展示されており、災害時に使用する機器の組み立て方法などが紹介されています。ボードは、壁に掛けられており取り外して機器と一緒に運ぶことも可能です。

また、「しまう防災」では、共用施設であるラウンジのソファ内に災害時に使えるグッズを収納。いざというときに、防災機器がどこにあるかわからないといったことを防ぐ効果もあります。

「プラウドタワー平井」の公開空地にある防災設備の表示板(筆者撮影)

さらに、マンション敷地内の公開空地には、かまどベンチの使用方法などが初見の人も理解できるよう表示した掲示板も。これなら、マンションの住民以外でも災害時に対応できます。

「プラウドタワー平井」のラウンジ(筆者撮影)

ラウンジなどの共用部は、とても素敵な空間で防災具がそこにあるとは全く感じませんでした。かつては、水害リスクの大きかった平井エリアですが、スーパー堤防の完成などによって水害リスクは軽減されています。また、耐震性の高いマンションは、災害時に留まったほうが良いともされています。「プラウドタワー平井」は、各階にも防災倉庫を設置されています。

都市部のマンションは、住替えニーズも強く「終の棲家」ではなくなってきています。誰が住んだとしてもいつ起こるかわからない災害へ備える「見せる防災・しまう防災」のような取り組みは、さらに重要になっていくでしょう。

編集付記 すでに入居が始まっている再開発組合の理事の方にお話を伺えました。計画にあたって組合員の要望がかなり採用されたとのこと。防災面での安心感は大きなもので基礎免震構造・電気室を2階に配置するなど地震や水害に強く心強いとのこと。住み心地の面では、眺望がすばらしく周囲に高層建物がない平井駅ならではのビュー。新宿方面の富士山や各方面での花火も見えるとのこと。東京スカイツリーも近く、眺望の穴場スポットかもしれない。