東日本大震災から14年 地域一帯で取り組む防災の備え「津田沼奏の杜(かなでのもり)」

津田沼奏の杜防災 マンション探訪記
津田沼奏の杜エリア

三菱地所レジデンス株式会社、三菱地所コミュニティ株式会社、三菱地所コミュニティ、エリアマネジメント組織である一般社団法人 奏の杜パートナーズは、千葉県習志野市「津田沼奏の杜(かなでのもり)」エリアの居住者とともに 2025年 3 月 9 日(日)防災訓練を実施しました。筆者も初めて、防災訓練の様子を見学。地域一帯で取り組む防災への備えを紹介します。

エリア10回目の防災訓練 習志野市の市長も挨拶

津田沼「奏の杜」エリアは、土地区画整理事業により 2013 年にまちびらきを行った新しいまちです。ザ・パークハウス 津田沼奏の杜からはじまり、今回でエリア 10 回目となる防災訓練は、いつ災害が起きても「奏の杜」にいる人々で助け合うために、「誰一人取り残さない防災」の実現をテーマに実施が行なわれました。

子どもが多く賑わいがあり、地域にペットのコミュニティがあることから、子どもが参加しやす
い内容・ペットの備えを考える内容も。当日は谷津奏の杜公園に集まり、参加者全員で、近隣住民児童とともに作成した災害・被災生活に関するクイズなどを実施。楽しみながら防災知識を高めるとともに、身体を動かして防災を体験すべく、地域で助け合うための防災備品の使い方を身につける訓練等も行われました。

今年は初の取り組みとして、子どもも分かりやすく学べるよう 171 体験機等を活用し災害時の安否確認にも役立つ「災害用伝言ダイヤル体験」や、谷津奏の杜公園の防災設備を学ぶ「ぼうさい探検」、ペットに必要な備えを考える「ペット防災」を実施しています。

宮本泰介市長(筆者撮影)

開会に先立って、習志野市の宮本泰介市長があいさつ。家具の固定やライトの準備、水や食料の確保、非常用トイレの準備の声掛けがありました。防災用トイレの準備はあるものの限りがあります。1人1日あたり5パックは、必要とのことで15回分の備蓄を促していました。また、今年は火災の発生が多いようで火の元の注意も呼びかけられました。

津田沼「奏の杜」エリア 約 8,600 人対象の防災訓練を実施

~参加者全員で「防災体験」を行い、防災を軸としたエリアマネジメントを目指す~
■今回の訓練の特長
① 地域の特性を活かし、子ども・ペットのことも考えたメニューを取り入れ「誰一人取り残さない防災」の実現を目指す
② 参加者全員で災害・被災生活に関する問題を解き、エリア全体の防災知識を高める
③ 地域の防災設備を知り、必要な備えを考え、実際に身体を動かしながら備品の使い方を学ぶ

防災訓練の様子(筆者撮影)

エリアにおける防災訓練は、広がっており「ザ・パークハウス 津田沼奏の杜」、「ザ・パークハウス 津田沼奏の杜テラス」、「ザ・レジデンス津田沼奏の杜」、「ザ・レジデンス津田沼奏の杜テラス」(計 4 物件 1,943 戸)の管理組合、同エリアの戸建居住者・他社分譲マンションに加え、エリア外の当社分譲マンション「津田沼ザ・タワー(759戸)」が対象。さらに習志野市自主防災組織への声掛けや習志野市内掲示板の活用も。災害時に広く周辺地域で助け合うことを目指し「奏の杜」エリア全体と近隣地域に広がっています。

■防災訓練の内容
日 時:2025 年 3 月 9 日(日)9:00~12:00
主 催:一般社団法人 奏の杜パートナーズ
対 象 者:「ザ・パークハウス 津田沼奏の杜」管理組合
「ザ・パークハウス 津田沼奏の杜テラス」管理組合
「ザ・レジデンス津田沼奏の杜」管理組合
「ザ・レジデンス津田沼奏の杜テラス」管理組合
「津田沼ザ・タワー」管理組合
同エリアの戸建居住者および奏の杜エリア全体
内 容: 9:00~各マンション・戸建にて安否確認訓練、避難訓練
10:00~参加者全員が谷津奏の杜公園に集合し、全体訓練・安否確認の結果発表
10:30~①~⑬の各プログラムを谷津奏の杜公園の各場所で同時進行
① そなえるアクション~6 つのミッションから防災を体験する~
② ぼうさい探検~谷津奏の杜公園の防災設備を学ぶ~
③ そなえるドリル ワークショップ(トイレ・家具転倒防止)
④ 災害用伝言ダイヤル 171 体験
⑤ ペット防災(防災手帳作成ワークショップ、犬用・猫用防災セット紹介)
⑥ 起震車による地震体験
⑦ 水消火器訓練
⑧ 公園内マンホールトイレの組立訓練・フタ開け体験
⑨ ベランダパーテーション蹴破り体験
⑩ 煙体験ハウス
⑪ AED・心肺蘇生訓練
⑫ 防災井戸の見学
⑬ 防災倉庫の備蓄品アイデア募集

まずは、安否確認 「防災計画書」に従い各住戸の安否確認情報を収集

安否確認(9:00~)各マンションでは、マンションオリジナルの防災ルールを定めた「防災計画書」に従い、安否確認フローを確認。安否確認シートを各住戸ごとの扉に貼り出し、担当者が各住戸の安否確認情報を収集。その情報を災害対策本部に持ち帰り、マンション全体の状況を把握しました。ザ・パークハウス 津田沼奏の杜では、有事の際に活躍が期待されるキッズ防災メンバーによる館内アナウンスも実施しました。

その後、参加者全員が谷津奏の杜公園に集合し、全体訓練・安否確認の結果発表。谷津奏の杜公園に集まった参加者全員で、近隣住民児童とともに作成した災害・被災生活に関する〇×クイズを行い、楽しみながらエリア全体で防災知識を高める工夫も。

備品の使い方訓練で使う備品(筆者撮影)

その後、各プログラムを各場所で同時進行。ぼうさい探検では、谷津奏の杜公園には防災に関する場所が 5 か所あり、公園内のどこにあるのかを探検マップをもとに探索。子どもも大人も楽しみながら地域に備えられている防災設備を学びました。

災害用伝言ダイヤル 171 体験では、災害時に落ち着いて家族や知人の安否等の確認・連絡を行えるよう、NTT 東日本並びに公益財団法人日本公衆電話会の協力のもと、「災害用伝言ダイヤル」を体験。 起震車による地震体験では、実際に地震が起きた際に冷静な対処ができるよう起震車で地震の揺れを体験しました。

地震体験の様子(筆者撮影)

また、谷津奏の杜公園には 54 カ所に災害用マンホールトイレが設置されています。地域の防災倉庫に備えている「災害用マンホールトイレ」を実際に組み立てる訓練を行いました。参考になったのは、 ベランダパーテーション蹴破り体験。パーテーションを蹴破るのにどのくらいの力が必要か・どのように割れるのかを実際に体験しました。

ベランダパーテーション蹴破り体験の様子(筆者撮影)

さらに、煙体験ハウスでは火災が発生した場合の避難方法を体験。 AED・心肺蘇生訓練では、マンションにも設置している AED の使い方を学びました。

災害は、いつ何時起こるかわかりません。こうした防災訓練に参加して防災の知識を持っている人が増えれば、地域の防災力も高まるはず。三菱地所グループは、当初はボランティアとして有志が行なっていたものを現在は、業務として展開しています。こうした取り組みこそ街づくりと言えるのではないでしょうか。