新築マンションおよび中古マンション価格の上昇が続いています。しかし、あくまでも円をモノサシにした場合の結果です。今回、日本銀行が発表している為替相場を参考に、首都圏の新築マンション価格がドルベースでどう推移しているかの参考値を算出しました。
為替相場は、日本銀行発表の統計データー表を参考に月末の為替レートを採用。毎月の新築マンション価格は変動が大きいため各年毎の平均価格を毎月一定としました。(首都圏新築マンション価格は、不動産経済研究所発表のデータを参照)
2011年1月から2020年12月の期間で見ると、最もドルベースで首都圏新築マンション価格が高かったのは、2011年8月の59万7800ドル。最も低かったのが2014年12月の42万2400ドル。2020年12月の価格が58万8700ドルなので、ドルベースでは上昇していないという驚きの結果になりました。
大きな要因は、為替レートの変動。2011年は、概ね1ドル80円前後。最近は、109円台前後で推移していますから、為替レートは大きく円安に振れています。日本銀行の金融緩和によって円レートは下がっていますからドル換算での平均的なマンション価格はほとんど上がっていないのです。
米国から見ると、日本の不動産価格は10年間では上昇していないとも言えます(5年間で見ると、大きく上昇しています)。グローバルな視点で価格を捉えることも大切かもしれませんね。
【編集後記】
ここ数年の新築マンション価格の上昇もあり円ベースでは、20%~30%価格が上昇しているマンションはかなりあります。しかし、ドル建てで見ると意外な結果になりました。日本の世界におけるGDPシェアは、小さくなりつつあるので、世界経済の動向が物価などにも大きく影響します。資産形成を考えるなら、住宅購入だけでなく多面的に資産バランスを考える必要がありそうですね。
著者プロフィール 岡本 郁雄 (おかもと いくお)不動産コンサルタント
不動産領域のコンサルタントとして、マーケティング、コンサルティング、講演、執筆などで幅広く活躍。首都圏を中心に3000件以上の新築マンションのモデルルームや現場を見てきた。1967年岡山県倉敷市生まれ、神戸大学工学部卒。ファイナンシャルプランナーCFP®、中小企業診断士、宅地建物取引士、公認 不動産コンサルティングマスター。