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住まいの売却検討者&実施者調査 「住む場所を変える」が理由1位

イメージ写真 コラム&インタビュー
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株式会社リクルート住まいカンパニーは、2020年12月に「住まいの売却検討者&実施者」調査を行いました。この調査は、居住用不動産売却の実施・検討をしている人(首都圏)を対象に、意識と行動などを把握することを目的とした調査です。公開された調査結果を紹介します。

調査目的 不動産売却検討者&実施者の意識と行動を把握する
調査対象 :首都圏(東京都/千葉県/埼玉県/神奈川県) 在住の20-69歳男女  過去1年以内/1~2年以内に居住用不動産の売却を主体的に検討し、次のいずれかの行動をした方 (情報収集、仲介会社へ問い合わせ、訪問査定、媒介・代理契約、売却)
本リリース集計対象:過去1年以内に居住用不動産の売却を主体的に検討した方 621人
調査方法:マクロミルモニターに対するオンライン上でのアンケート調査
調査時期・回答数:スクリーニング調査 2020年12月11日(金) ~ 12月21日(月) 有効回答数:20,000 本調査 2020年12月15日(火) ~ 12月18日(金) 有効回答数:1,241(本リリース集計対象:621)
調査機関 :株式会社マクロミル
サンプル回収について:首都圏、10歳刻みの人口構成比(平成27年度国勢調査を使用)に、スクリーニング調査での売却検討&実施者の出現率を掛け合わせて、市場実態に近い年代構成で回収。

売却検討者は、減少傾向に 「住む場所を変える」が売却理由のトップに

居住用不動産保有者のうちの売却検討者出現率 出典:2020年『住まいの売却検討者&実施者』調査(首都圏)

居住用不動産保有者のうちの売却検討者出現率 出典:2020年『住まいの売却検討者&実施者』調査(首都圏)

まず、売却検討者の出現率を2019年と2020年を四半期ごとに比較すると、いずれの時期においても
2020年のほうが減少している傾向にあります。東日本不動産流通機構発表の月例速報でも新規の売り出し物件数は、時期を追うごとに減少しておりマーケット動向と一致するデータになっています。

参考記事:2021年1月度首都圏中古マンション成約数は、昨対比29.9%増

「売却検討者へのコロナの影響に関するアンケート」では、コロナ感染拡大時の不動産売却検討で影響のなかった人は約27%にとどまり、7割超の人はコロナ感染拡大の影響があったと回答しています。またコロナの感染拡大によって売却の検討が促進されている人の割合が6割超を占めた一方で、買い替え検討層では休止者が多くなっています。コロナ禍を受けて、持ち家層の住み替え検討が減っていることも売却意向が減少している要因の一つと考えられます。

また、実際に売却した人の満足度は、2020年4月以降高まっており、10点満点中平均7.5点の評価。中でも買い替え層は、7.7点の評価をつけています。

不動産を売却しようと思った理由(複数回答)出典:2020年『住まいの売却検討者&実施者』調査(首都圏)

不動産を売却しようと思った理由(複数回答)出典:2020年『住まいの売却検討者&実施者』調査(首都圏)

不動産を売却しようと思った理由については、2020年4月以降は、「住む場所を変えるため」(33.9%)が「売れるときに売るため」(29.8%)を上回りトップに。「まとまったお金を手に入れる」(20.5%)、「高いうちに売る」(21.1%)も上位の理由になっています。

売却の多くが住み替え意向であることを考えると新築マンション供給が減少しているコロナ禍では、中古物件の売り物が少なくなるのも当然と言えるかもしれません。

不満のトップは、売出し価格・査定価格の妥当性  仲介会社への不満も

売却検討・実施における不満(複数回答) 出典:2020年『住まいの売却検討者&実施者』調査(首都圏)

売却検討・実施における不満(複数回答) 出典:2020年『住まいの売却検討者&実施者』調査(首都圏)

売却検討・実施における不満としては「売り出し価格が妥当かわからない」「価格査定の妥当性が
わからない」といった価格に関するものが、不満の上位に挙がっています。不動産会社と一般ユーザーでは、知識の差が大きいので理解しやすく丁寧に伝えることが重要です。

また、「仲介手数料が高かった」と思う人は売却完了した人でも19.2%にも上っています。「値引きせざるを得なかった」21.2%、「不動産会社の買い取り価格が低かった」17.1%も相当数ありお金に関する部分の不満は大きいようです。

また、「特に不満はない」と回答した人の割合は、コロナ禍以降に売却を検討開始した人のほうが約11ポイント高くなっており、好調な中古市場を受けて成約価格が上昇していることは売却を検討する方の不満を抑えているようです。

価格の透明性は、以前から不動産流通の課題とされていたことです。現在は、中古マンションに限れば『マンションレビュー』をはじめ様々なサイトで適正価格の目安が表示されています。AIを使った適正価格の表示は、今後さらに進んでいくのではないでしょうか。

仲介手数料に関しては、上限が決められているのがポイントで提案力がある仲介会社が高値でスムーズに売却できれば満足度も上がるでしょう。一方、契約内容や調査に不備があり価格も納得いかず後々トラブルになるケースもあります。こうした場合では、仲介手数料に納得いかないのも当然でしょう。

築年数が20年以内の比較的新しいマンションは、大手の仲介会社や一定規模のある地域密着の仲介会社で力量の差異はあまりないと思います。仲介手数料を抑えたいなら、新築購入時の売主の関連仲介会社(例えば、野村不動産なら野村不動産アーバンネット)の仲介手数料割引サービスを利用するのも良いと思います。

住み替えの際の資金計画にゆとりがない場合は、お金の流れがスムーズに行くように不動産会社や営業のサポートが欠かせません。その場合は、信頼できる不動産会社の担当者を選ぶことが重要です。まずは、会社のホームページをよく確認しましょう。

筆者の経験上、しっかりした仲介会社は営業マンのプロフィールや顔写真を掲示しています。なぜなら仲介会社間で取引する際にも、担当者の様子がわかった方が安心感があるからです。不動産コンサルティングの成否を左右するのは、その前線で活躍するスタッフのスキルです。著名な弁護士事務所や会計事務所のHPも同様に顔写真を掲載しています。よく確認してから選んでください。

 

【編集後記】

大手仲介会社のHPを見ると、多くはスタッフの保有資格やプロフィール・顔写真を掲載しています。比較的新しい仲介会社でもしっかりしている会社は、スタッフの顔写真を掲載しています。では、なぜ掲載していない会社があるのでしょうか。

例えば、離職率の高い会社などは掲載をためらうかもしれません。ひふみ投信を運営するレオス・キャピタルワークスの社長である藤野氏は、著書の中で投資する企業を選ぶ際に、HPに代表取締役の写真が掲載していることを重視すると語っています。不動産は、高い買い物ですから企業姿勢がしっかりしているかどうかのチェックが欠かせません。企業選びの大切な視点だと思います。