株式会社LIFULL(ライフル)が運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S」は、2023年における実際の問合せ数からユーザーの「本気」で住みたい街を算出した、住まい探しの「いま」が分かるランキング「2024年 LIFULL HOME’S みんなが探した!住みたい街ランキング(首都圏版)」を発表した。
コロナ禍を経て、経済活動が復活した2023年。賃貸、売買ともに街選びにも変化が出ている模様。ランキングと、発表会の模様を紹介したい。
関連サイト(https://www.homes.co.jp/cont/s_ranking/shutoken/)
借りたいは、4年連続本厚木が1位
まず、借りたいランキングから紹介。借りたいランキングの傾向は、以下の通り
<借りて住みたい>
・賃貸ユーザーから支持を集め4年連続「本厚木」が1位!開発で駅勢圏が拡大、生活利便性向上
・コロナ後も物価高騰で郊外エリアにニーズが集まる、都心方面に乗り換えなしでダイレクトアクセスできるエリアが上位に
・「コスパ良好な街」葛西が初のTOP3入り! TOP30内で都心12駅が順位を上げ、都心・近郊と準近郊にニーズが二極化
2021年以降からの郊外エリアのニーズは継続するも、徐々に都心近郊に位置する街が上位に進出し、コロナ後の変化を見据える動きも表れ始めています。コロナ禍を経て、神奈川県央部の「本厚木」が今回も1位となり、4年連続してトップに。2023年は消費者物価の高騰、人材確保や子育て支援の側面が強調され始めたテレワークの継続などによって、首都圏における郊外エリアでの賃貸ニーズが依然高いことを示す結果に。
都内に所在する駅はベスト30のうち12駅に上っており、その多くは前回よりも順位を上げていることから、首都圏での賃貸ニーズはコロナ禍での移転先である郊外方面もしくは比較的利便性の高い準近郊で定着すると共に、都心方面へと回帰する動きも明確に。首都圏における賃貸ニーズが、コロナ後の新たな動きとして“二極化”しつつあると見ることができる。
「八王子」(3位→3位)、「大宮」(2位→4位)、「柏」(4位→6位)、「千葉」(11位→11位)など都心方面に鉄道の乗り換えなしでダイレクトアクセスできるエリアが上位に定着。1位の「本厚木」は新宿から50分程度でアクセス可能。コロナ後、都心エリアでの賃料の上昇傾向が顕著になり、比較的賃料水準が低い「本厚木」周辺での賃貸ニーズの顕在化が継続したと考えられる。
上位にランクインしている準近郊・郊外エリアの駅の共通点としては、「 都心方面に鉄道の乗り換えなしでダイレクトアクセスが可能、終電まで夜遅くまである」、「 駅勢圏(駅周辺の繁華性が高いエリア)が比較的広く、都心・近郊の街と大きく変わらない生活利便性」、「 郊外ならではの手頃な家賃相場」、「 落ち着いた居住環境・周辺環境」などが挙げられる。
また、「葛西」が6位から上昇し2位となり、初めてTOP3にランクイン。ランキングではコロナ後を見据えた動きも明らかになり、「三鷹」(5位→5位)、「川崎」(7位→7位)、9位「町田」、14位「西川口」などの準近郊人気エリアが前回同様に上位を維持している。同時に、都心近郊の12駅が前回よりも順位をアップ。TOP30に、8位「北千住」、12位「池袋」、13位「三軒茶屋」、16位「高円寺」、20位「新小岩」、22位「荻窪」、23位「中野」、27位「大森」、29位「錦糸町」が入った。
首都圏での賃貸ニーズは、コロナ禍での移転先である郊外方面もしくは比較的利便性の高い準近郊で定着すると共に、都心方面へと回帰する動きも明確になり、コロナ後の新たな動きとして“二極化”しつつあると見ることができる。
5年連続「勝どき」が1位 「晴海フラッグ」の入居開始で圧倒的な支持
次に買って住みたいの傾向をみてみよう。
・5年連続「勝どき」が1位。都内の価格高騰で、価格・広さ・規模で相対な優位性により人気に拍車
・東京の“衛星都市”が躍進、都心よりも割安感ある「平塚」「大宮」「八王子」が上位に
・コロナ禍を契機に子育て世代が選ぶ「住宅と環境」が大きく変化、準郊外エリアが上位に進出
首都圏「買って住みたい街」ランキングは、「勝どき」が2020年から5年連続となる1位を獲得、コロナ後も圧倒的な強さを示した。昨今の東京都内での新築マンション価格高騰により、「勝どき」の物件は価格面でも広さでも規模でも優位性がアップ。コロナ禍~東京オリパラ開催~コロナ後という期間の象徴的な物件であり続けていることが明らかに。個別物件の名前は、発表会では挙がらなかったが高倍率で即日完売が続く『晴海フラッグ』の影響であることは、明らかだ。
都心近郊では、「南砂町」(20位→7位)が浮上し、「五反田」(67位→10位)、「浅草」(114位→17位)、浅草に隣接する「両国」(128位→20位)と急浮上。また、駅周辺での大規模な物件開発が話題となった「後楽園」(74位→19位)や隣接する「春日」(99位→29位)がともに上昇。対照的に、前回5位の「田町」は31位に、11位だった「半蔵門」は244位まで順位を下げた。
都心よりも割安感があるベッドタウン「平塚」「大宮」「八王子」が上位にランクイン。「横浜」(2位→9位)や「茅ケ崎」(4位→8位)はやや順位を下げたものの、ベッドタウンである2位「平塚」(前回3位)、3位「大宮」(同8位)、4位「八王子」(同9位)が揃って上位に進出した。
5位に浮上した「八街」(前回7位)、「千葉」(10位→11位)、「東松山」(30位→12位)、「大網」(27位→16位)など、首都圏郊外&準郊外の街が前回よりさらに上位に進出している点も特徴的。都心から1時間以上かかる準郊外エリアが上位を維持している。
フリートークでは、注目の街を紹介 井上咲楽さんのアドバイスも
発表会では、ゲストの井上咲楽さんとLIFULL HOME’S 総研 副所長の中山登志朗さんとの住みたい街トークセッションが行われた。井上咲楽さんは、18歳で上京して以降で寮も含めると8回引越ししたとのこと。池上からスタートし蒲田や西小山などいろんなところに住んだ経験が。その中でもとくに、荻窪が住みやすかったとのこと。ポイントは、安いスーパーが多いところ。中央線は、駅ごとに個性があり魅力的だったとのこと。
また、これから住まいを探す人のアドバイスとして、「コンセント」に気を付けてとのこと。位置や数などは、良くチェックしたほうが良いとのこと。中山氏も「鋭いですね」と応じた。近年は、家電の進化やIOTによってコンセントが足りないケースもあると言われている。分譲マンションに比べ、賃貸住宅は、少ない場合もあるので参考にするとよいだろう。
また、注目の街として、北綾瀬、橋本、浦安、八街、大宮、蕨が挙げられた。橋本、浦安について、元不動産会社の人を交えて、橋本は、リニアを起点とした再開発、浦安は広さが魅力とのトークが交わされた。
最後に井上咲楽さんから『住まい探しを楽しんで』、中山登志朗さんから『自分と家族が幸せになる家を』とのアドバイスが。『LIFULL HOME’S で、そのお手伝いをしたい』で結ばれた。
『私たちは、幸せになるために生まれてきました。しかし、人生は短くいずれ終わります』とは、世界でもっとも貧しい大統領として尊敬を集めたウルグアイの大統領、ホセ・ムヒカ氏の言葉。『物や地位で自分を証明するためにもっと多くのものを買い、そのために働き続けていると、人生を棒に振ってしまいます』と続く。
賃貸か購入か、戸建てかマンションか、新築か中古か。家族によって幸せのカタチは様々。ランキングを住まい探しのヒントにしては、いかがだろうか。