東急不動産株式会社と日鉄興和不動産株式会社、株式会社学生情報センターは、東急不動産が開発し学生情報センターが運営する学生レジデンス「CAMPUS VILLAGE(キャンパスヴィレッジ)」シリーズの「キャンパスヴィレッジ千歳烏山」の竣工を発表した。
環境に配慮し、使用する置き家具に株式会社アクタスが提供する再生原材料を用いたサステナブルな製品を採用。使用後はリペア、リユース、リサイクルシステムを活用した家具を循環させるサーキュラーエコノミーに対応している。また、どのような素材から生まれた家具であるのかをイメージしやすいように、原材料からの加工工程をキャプションで説明するなど、学生の環境意識を高める施策も行う。
既に募集は、行われており取材時点(2023年3月13日)で全182室の募集に対し約7割が成約済みと人気は上々だ。完成した建物を訪ね「キャンパスヴィレッジ千歳烏山」の建物の特徴を紹介する。
「CAMPUS VILLAGE」シリーズ初の京王線沿線での開発
同物件は、京王線「千歳烏山」駅より徒歩4分の場所に位置する全 182 戸の学生レジデンス。京王線沿線には明治大学や日本大学などがあり学生が多く利用する路線。シリーズとしては、22棟目で「CAMPUS VILLAGE(キャンパスヴィレッジ)」シリーズ初の京王線沿線での開発となる。
同プロジェクトの特徴は、再生原材料を用いた家具と、使用後も廃棄しないしくみを導入した環境配慮型学生レジデンスであること。「持続可能な社会の創り手の育成」が新学習指導要綱に明記されるなど、学生に対する積極的な SDGs 教育が求められる昨今。環境意識を高めるべく、SDGs をより身近に体感できる取り組みを導入した。
家具の使用後は、アクタスが構築した、家具版のサーキュラーエコノミー「廃棄される家具をなくす 3 つの循環システム」に則ってリペア、リユース、リサイクルが行われる。また、採用された家具には、4つの素材を主に活用。リフモという繊維系廃材(100%)を加熱・加圧成型してできたリサイクル素材は、共用部のソファや棚の一部にデザインのアクセントに。天然原材料から作られる非石油製品である天然リノリウムは、共用部のテーブル類に活用されている。また、間伐材や建築廃材を用いた国内産のパーティクルボードは、共用・専有部の家具に。アップサイクルのビーンバックは、廃棄された船のセイルを素材とした。
共用空間やイベントなどコミュニティを育む仕掛けが学生レジデンスの価値
コミュニティを育む充実した共用部やイベントなどもキャンパスヴィレッジ千歳烏山の魅力だ。1階には、70人以上が利用できるカフェテリアを設置。和室やセパレートされたスペースなど様々な空間が用意されており、入居者同士のコミュニケーションが育まれる。
また、シェアキッチンも用意されており、一緒に夕食なども食べられる。カフェテリアの利用時間は、7時から24時まで。希望者には、朝食や夕食も用意される。
また、スタディスペースや独立した個室ブースなど勉強しやすい空間も提供。5階のルーフテラスやダンスルームなども用意されている。なお、管理人は住み込みで安心感がある。
施設では、参加費無料のウェルカムパーティーやゲーム大会などのイベントも用意。学生同士の交流のきっかけをサポートしている。
個室は、バストイレ別の1R 専有面積は、15.16平米から 家賃7万2千円~
住戸へは、内廊下のアプローチで、エントランス、エレベーターホール前、各居室の3重のセキュリティーを実施。個室は、15.16平米から16.38平米とコンパクトだが、バス・トイレは別でエアコンや家具・家電がついており、初期費用は抑えられる。
実際に、個室を見学すると、ベッドの下に収納スペースを設けるなど空間づくりに配慮。住み心地は、悪くなさそうだ。
壁面に、使い勝手の良いボードを設置するなど暮らし方提案も。京王線の線路沿いではあるが、防音性の高いT3サッシを用いており音も気にならなかった。
共用空間としてのカフェテリアやスタディルームがあるので、十分なスペースと言えるのではないだろうか。
賃料は、月額7万2千円~8万4千円。さらに共益費が月額2万1千円かかる。また、食事代は任意だが、希望すれば月額2万5千3百円で提供される。更新料は、1年契約で15万円、2年契約で24万円。礼金も同額必要で、決して安いとは言えないが、希望者が多いということはコミュニティを含め、キャンパスヴィレッジで暮らすことに価値を感じる人が多いのだろう。
ちなみに、現時点での入居予定者の出身大学トップは東京大学。次いで明治大学が続く。留学生も1割程度いるとのことだ。また、男女比はほぼ同じくらいとのことだ。人生において、出会いはとても大切な要素。そこに価値を感じる学生や親が多いのだろう。東急不動産および学生情報センターでは、続くプロジェクトも計画中。グローバル化が進めば、日本の大学を選ぶ学生も増えるだろう。今後の学生マンションの動向に注目したい。
■ 物件概要
住 所:東京都世田谷区南烏山 4 丁目 381 番 1(1 筆)(地番)
交 通:京王線「千歳烏山」駅より徒歩4分
敷地面積:1,964.39 ㎡
延床面積:4,155.42 ㎡
構造規模:RC 造 地上 5 階建
間 取 り:1R( 15.16 ㎡〜16.50 ㎡)
戸 数:182 室
竣工/入居 :2023 年 3 月竣工、同年 3 月入居(予定)
事業企画:東急不動産株式会社、日鉄興和不動産株式会社
設 計:株式会社フリークス
施 工:京王建設株式会社
管理運営:株式会社学生情報センター
編集後記 筆者の下宿生活がスタートしたのが三十数年前。6畳一間のアパートで、キッチンは共用廊下に、トイレも共同、風呂は銭湯に。表替えのみのクッションの効いた畳で、「これならカーペットが要らないね」と親から言われた。家賃は、1万6千円。仕送りされる身分としては、十分すぎる部屋だった。マンションタイプの住宅は少なく、家賃三万円以上の下宿に住んでいる友人は、一人もいなかった。学生の住宅事情も随分変わったと驚くばかり。大学時代の出会いが続いている友人も多く、人生の糧になった。ここでの生活に良き出会いがあることを願う。