再開発で大きく変貌を遂げている渋谷西口に12月5日新生「東急プラザ渋谷」がオープンします。1965年に開業した「旧東急プラザ渋谷」の建替えによって誕生する「渋谷フクラス」内の商業施設。「大人」をターゲットにしたライフスタイルが提案されます。
オープンに先駆けて行われた内覧会で感じたのは、新たなニーズを掘り起こす個性的なテナントミックス。渋谷に新たなスタイルを提案する「東急プラザ渋谷」と「渋谷フクラス」をレポートします。
大人向け69店舗、「食」「健康」「美」「趣味」「ライフプラン」がテーマ
「渋谷ヒカリエ」「渋谷セントラルスクエア」など駅前に東急グループだけでも商業施設が点在する中、「東急プラザ渋谷」では成熟した大人の関心が高い「食」「健康」「美」「趣味」「ライフプラン」をキーワードに店舗を集積しています。
商環境のデザインを手掛けるのは、世界的に活躍するグラマラスのデザイナー森田恭通氏。吹き抜け空間の照明などが印象的です。
渋谷初出店の全国の老舗ブランドや新業態の店舗など個性的なお店が揃っています。大人のこだわりに応える逸品のアイテムが見つかるお店も。オーダーメイドバックをつくれるお店や老舗刃物店なども入店しています。
生活雑貨のお店「Madu」(マディ)では、個性的な国産食器と欧州などから輸入した食器を販売。洒落たカップが1000円未満の価格帯から取り揃えています。
木製デザイン雑貨のお店「Hacoa DIRECT STORE」は、1500年の歴史を持つ越前漆器の技術がベースの木製品を提供。工房は、福井県の鯖江市にあります。写真の木製キーボードは、10万円とのことですが触り心地はとても良かったです。この価格帯でも毎月オーダーが入るようです。
オリーブ専門店「井上誠耕店」は、瀬戸内海の小島である小豆島由来のお店。小豆島は、オリーブ栽培の発祥地だそうで百年以上の歴史があり、オリーブの実を手摘みで収穫しています。ショップでは、オリーブのある暮らしをテーマに様々な製品が提供されています。
さらにワコールと東急百貨店がコラボした新業態の「ワコール+Q」やアイケアコスメの新業態「ロートクオリティエイジングサロン」など多彩なお店が出店。あまり商業施設で見かけない補聴器の専門店「東京ヒアリングケアセンター」も出店しています。
「シブヤライフスタイルラウンジ」で大人のライフステージをサポート
東急プラザの5階は、新しいスタイルのコミュニティフロアです。三井信託銀行や保険見直し本舗などシニアのお金やライフプランをサポートするお店や終活などを支援する「ライフストーリーズサロン」などが出店しています。
オーダーメードの旅行をサポートする「High Premium HIS Hills Shibuya」では、仕切られたブースで個別の旅行プランを作成します。
これはと思ったのが、買取相談のできるお店「なんぼや+miney」。持ち物の生前整理をしたい方に査定・買取サービスを行います。時計やブランド品、宝飾品、骨とう品などに対応。筆者も時計を査定してもらいましたが、写真撮影とアプリで概算は1分で提示されました。
カフェラウンジ ペッパーパーラー 6階・7階には「シブヤグラン食堂」
5階にはさらに、ロボット「Pepper」が活躍するカフェラウンジ「ペッパーパーラー」があります。端末操作によってのオーダーや席でコミュニケーションを楽しめます。
苔を使った照明など印象的な空間も面白く、施設の人気スポットになりそうです。
6階に13店舗、7階に5店舗の飲食店が出店。6階は大人がカジュアルに楽しめる鉄板焼きや寿司、イタリアン、ラーメン店など。7階には落ち着いた空間の焼鳥、日本料理、中華などが入ります。
17階に渋谷の喧騒や夜景を眺める「SHIBU NIWA」(シブニワ)を提案
17階には、渋谷の喧騒や夜景を楽しめる「広場」スペース「SHIBU NIWA」を設置。18階部分と階段でつながっていて、広々したオープンスペースです。
「渋谷セントラルスクエア」や「渋谷ストリーム」といった建物の間に、「六本木ヒルズ」と「東京タワー」が覗く景色は、躍動する渋谷に相応しい印象です。
また、17階&18階には、シンガポールのマリーナベイ・サンズのルーフトップなどで展開するエンターテイメントレストラン「CE’ LA VI」が日本初上陸。代々木公園や新宿副都心も見える居心地よい空間です。
17階部分には、シェアスペース「ビジネスエアポート 渋谷フクラス」も設置されます。法人・商業登記のできるアドレス会員が月額60000円(税別)、いつでも利用できるマスター会員は、月額30000円(税別)。4名迄は、打ち合わせスペースも利用できます。
1名用のサービスオフィス会員は、月額160000円(税別)からですが、拠点性の高さから既に全ての部屋が申込済みのようです。
シャワーブースや会議室、ロッカーなども有償で利用可能。ライブラリーも使い放題です。フレキシブルなワークスタイルが広がりつつ中、拠点性が高く使い勝手の良いスペースのニーズは、結構高いのかもしれません。
4階のカフェ「タリーズ」からは、桜丘地区で進む再開発の工事風景が見えます。2階には、オフィスに入居するGMOインターネットグループが提供するホログラムによる「デジタル・ハチ公」も設置。新たな待ち合わせ場所になるかもしれません。
躍動するする渋谷の新スポット「東急プラザ渋谷」。多様性があり外国人にも人気のスポットでもある「渋谷」の新名所になりそうです。
GMOグループが16階にクリエイター向け「GMO Yours・フクラス」を設置
「渋谷フクラス」の9階から16階のオフィススペースには、GMOインターネットグループが入ります。その16階部分には、コミュニケーションスペース「GMO Yours・フクラス」が設置されます。
同社のグループのパートナーが集うだけでなく、エンジニア・クリエーターなどITのものづくりにかかわる様々な人が集まる場として活用。定例イベントのほか外部イベントも開催する予定です。
ビュフェコーナーやカフェテラスゾーン&バーカウンターもありドリンクやバータイムのお酒などが無料で提供されます。以前、六本木ヒルズのグーグルのフリードリンクコーナーのあるオフィスを見て驚きましたが、広々したオープンスペースに感動しました。同社では、以前のセルリアンタワーにいた2011年から既に食事・ドリンクを無料で提供するスペースを開設していたとのことです。
今回の見学を通じて、都市づくりには働き方や生活スタイルの変化を先取りする必要があることを実感しました。同社のスタッフの方との会話では、今の若い社員は、住宅購入を検討する人は少ないとのことでした。となるとニーズが高まるのが良質な賃貸ストック。何れにせよ街の活性化は、住宅ニーズを生むのだと思います。
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