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人生100年時代に住まい選びが大切な理由

コラム&インタビュー
今も姿を変えつつある東京都心の景色(2019年11月撮影)

3歳で関東大震災 21歳で太平洋戦争 44歳で東京五輪 71歳でバブル崩壊

人生100年時代と言われるようになりました。2020年の東京五輪を100歳で迎える人は、1920年(大正9年)生まれの人で、私の祖母がまさにこの年に生まれました。1920年は、日本が国際連盟に加盟した年であり、1923年には関東大震災が発生。1929年には金融大恐慌が起こり、世情不安の中で世界は第二次世界大戦へと向かっていきます。祖母は戦中に長男を出産しそれが私の父になります。

1945年に25歳で終戦を迎え戦災復興から日本は高度成長期に入ります。1958年には東京タワーが完成。1964年には東京五輪が開催され1971年からは、出生数が200万人を超える第2次ベビーブームに。マイカーを持つ人も増え、乗用車の需要は大きく拡大しました。そして第3次マンションブームが到来、1973年には全国のマンション供給戸数が15万戸を超えました。

2度のオイルショックを経てバブル経済が到来。1989年(平成元年)には、日経平均株価が過去最高値の3万8,957円をつけました。そして1991年にバブルが崩壊。1997年には、山一證券が経営破綻するなどの金融危機が発生しその後ITバブルと崩壊、イラク戦争、リーマンショック、東日本大震災など様々な出来事を経験します。この100年で、日本の景色も大きく変わりました。人生100年時代は人々に様々な機会を提供する一方で、向き合うための準備も必要になってきます。

住居費の合計額が拡大 ライフステージも30歳からの70年間で大きく変化

おおよそ100年前の平均寿命は、男女とも44歳台。50年前の1969年の平均寿命は、男性が69.18歳、女性が74.67歳でした。2017年は男性が81.09歳、女性が87.26歳といずれも過去最高を更新。100歳以上の方も6万人を超えています。長生きできるというコトは、いろんなことにチャレンジできるなど可能性が広がります。ベストセラーになった『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)――100年時代の人生戦略』に書かれているように節目ごとの挑戦によって人生をもっと豊かにできます。

内閣府 平均寿命の推移と将来推計値(2015年)

一方、ライフプランニングの面では生活費をどうするかが課題となります。とくに、老後の住居費は重要で利便性の高い都市部に部屋を借りるならば、かなりの資金を用意する必要があります。賃貸か持ち家かは長寿社会を考えるとトータルコスト面で判断することも大切です。仮に65歳から90歳までの25年間の賃料負担増を年間120万円としてシミュレーションすると3000万円の手当が必要になります。

また、ライフステージに応じた住まいの選択も重要です。30代のファミリー層と70代シニア層では、住まいに求めるものも違うでしょう。ライフスタイルの変化に対応しやすい駅近のマンションが人気があるのは、長寿社会が既に到来しているからだと思います。

高齢化・人口減少時代は、人の移動が減り立地が固定化しやすい

さらに留意すべき点は、日本がすでに高齢化・人口減少社会を迎えています。都市部へ人口が流入する一方で、過疎化が進む地域も増えています。出生数がかつての200万人から100万人を切る時代になった今、若者の動向も街の将来へ影響してきます。地方から都市への流れも子供が減少する中で弱まりつつあり、必ずしも大都市だから安泰とは言い難い世の中になりつつあります。

人口が減れば、生活環境も変わります。スーパーやコンビニが近くにあって便利だった立地が、事業の見直しで閉鎖するケースは全国各地で起きています。今の便利さが、場所によっては将来無くなるかもしれません。住居の移転は、20代から30代の若い世代が多いので高齢化社会では立地の固定化が進みやすくなります。住まいの立地選びは今まで以上に今後重要になってくるでしょう。

テクノロジーが発達しても、同じ時間には一箇所にしか存在できません。どこに住むかは仕事や教育だけでなく、ライフスタイルに至るまで人生に様々な影響を与えます。もし今の生活に不満があるのなら賃貸でも購入でも住む場所を変えることは、人生をプラスに向ける一つの方法です。まずは、どんな暮らしが理想なのか考えてみてはいかがでしょうか。

 

【編集付記】3月18日追記

先日、大正9年生まれの祖母の50日祭が終わりました。父が建てた戸建てに97歳で入院するまで40年近く暮らし、74歳で富士山に登るなど楽しく人生を過ごしました。買い物施設が身近にあったので90歳を超えても車を押しながら一人で出掛けていました。長寿社会を迎え選択肢が増えた今の時代だからこそ、住まい選びはより重要になってきていると思います。