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令和に続く未来の住宅はどうなる?平成に夢みた暮らし30年で実現

「東京ツインパークス」職住近接のタワーレジデンス コラム&インタビュー
「東京ツインパークス」職住近接のタワーレジデンス

30年余り続いた平成から令和へと元号が移り半年が経過しました。バブルの崩壊や多くの自然災害に見舞われ失われた30年ともいわれる平成ですが、住宅領域で見ると人々が思い描いていた夢をかなえたことも多かったのではないでしょうか。

平成元年に夢見た「ゆとり」の住宅 職住近接、ハイテク、高齢化社会対応

平成31年4月の熱海

平成31年4月の熱海 時短の流れやインバウンド需要の高まりで客足も戻りバブル後の低迷から脱しつつある

昭和64年1月11日発行の『週刊住宅情報』新春特別号には、「住まいの3大潮流」の巻頭記事。3つのトレンドとして「職住近接」、「ハイテク技術や人的サービス」、「高齢化社会への対応」が挙げられています。

平成元年といえば、バブル経済真盛りの時代。首都圏でリーズナブルに土地や戸建てマンションを購入するのは困難でした。住宅ローン金利も高く、マイホームの購入は当時まさに夢。住宅の郊外化が進みニュータウンの分譲マンションも高倍率になるケースも。また、リゾートマンションが熱海・伊豆・箱根や湯沢などに大量に供給されました。

それから30年、バブル崩壊から金融危機、ITバブル崩壊など様々な出来事がありました。企業が保有する遊休地や低利用地、社宅などの資産が放出され新たな街が誕生し、都市の姿も一変しました。

職住近接ニーズで都心回帰の流れ定着 都市再生特別措置法も開発を後押し

千代田区神田淡路町にある複合施設「ワテラス(WATERRAS)」

千代田区神田淡路町にある複合施設「ワテラス(WATERRAS)」

中でも大都市圏における都心回帰による職住近接ニーズの高まりと交通利便性の高い場所でのマンション供給は、人々の暮らしを一変しました。とくに2002年に都市機能の高度化及び都市の居住環境の向上を図るために制定された都市再生特別措置法の制定以降は市街地の再整備が進み都心回帰の流れが一気に進みました。

「ワテラスタワーレジデンス」

複合施設「ワテラス(WATERRAS)」の下部がオフィス、上部は住居となっており「ワテラスタワーレジデンス」が入る

例えば、東京都中央区は、高度成長期やバブル経済の中で住宅の郊外化が進む中で人口の減少トレンドが進んだ地域でした。昭和63年には、人口減少に歯止めをかけるべく「定住人口回復対策本部」を設置しましたがバブル経済によって都市の空洞化が進み平成9年4月には戦後最低の71,806人まで人口が落ち込みました。

その後、住環境整備などの施策と都心回帰ニーズの高まりや都市再生特別措置法の効果もあり徐々に人口が増加。平成18年4月に10万人を超え平成30年5月には59年ぶりに16万人を超えました。

今後、晴海地区の大規模再開発や月島、勝どきエリアの再開発も控えておりさらなる人口流入が見込まれます。人口流入は、中央区に限らず千代田区、港区と江東区、台東区、荒川区など都心近郊エリアでも顕著で、職住近接を実現する住宅ニーズの高まりは、平成の大きなトレンドといえるでしょう。

東京都中央区の人口推移(出典:中央区住民基本台帳)

東京都中央区の人口推移  各年1月1日 (出典:中央区住民基本台帳)

中央区を例に挙げれば、平成28年の年間出生数が2000人を超え合計特殊出生率が1.42となるなど多世代にとって暮らしやすい街に変化しています。一方で、共働きファミリーの増加から保育園不足が課題になるなど急激な変化に行政が対応しきれていない面もあります。

定住人口の増加からミニスーパーなどの生活利便施設が増えるなど都心エリアの景色も変わりつつあります。ワテラスタワーレジデンスのような職・住一体の再開発も目立つようになってきており時間的なゆとりを満たす住宅の選択肢も持てるようになってきました。

家事負担軽減のディスポーザー、食器洗い乾燥機、コンシェルジュサービス

ディスポーザーや食器洗い乾燥機付きのマンションは珍しくなくなった(写真はイメージ)

ディスポーザーや食器洗い乾燥機付きのマンションは珍しくなくなった(写真はイメージ)

設備や仕様の充実も平成30年余りで進化した住宅の特徴です。中でも食器洗い乾燥機や生ごみをキッチンで処理できるディスポーザーは、家事負担を軽減する設備として広くマンションに普及しました。

耐震性や防音性、断熱性などの住いの構造の進化も平成30年で大きく進みました。防音性に影響する床のスラブ厚は150mm程度のマンションもあった時代から比べると200mm以上に。二重床・二重天井を採用するマンションや防音性に配慮したフローリングを採用するものも主流になっています。

また、2000年ごろから普及が進んだ複層ガラスは、寒暖の差の大きい日本において冷暖房の効率を高めました。日照量の多いタワーレジデンスには、特殊な金属膜で表面をコーティングしさらに断熱性を高めたLow-E複層ガラスなども採用されています。

管理サービスのソフト面の充実も最近のマンションの特徴です。集住メリットが大きくなる大規模マンションの登場は、夜間は警備員が巡回する24時間有人管理や各種サービスを取り次ぐコンシェルジュサービスを可能にしました。

また、平成に入って登場した共用施設キッズルームは、マンションライフの魅力を高めましたがフィットネスやライブラリー、パーティールームなど多彩な施設が提案されライフスタイルに応える場が提案されています。

シニアが暮らしやすい分譲マンションや高齢者向け賃貸レジデンスも登場

「グランコスモ武蔵浦和」の室内

「グランコスモ武蔵浦和」の室内

平成元年に男性75.91歳、女性81.77歳だった平均寿命は年々伸びており平成29年には男性81.09歳、女性は87.26歳になっています。また65歳以上の高齢者は3559万人超(平成30年11月)で総人口の28%超。先進国の中でも高齢化が進んでいます。

平均寿命が伸びる中で、高齢でも健康な人も増えており住まいのあり方も多彩に。年を重ねてもアクティブに暮らしたいシニアに適した分譲・賃貸も登場してきています。

「グランコスモ武蔵浦和」(2016年竣工 分譲済み コスモスイニシア分譲)は、JR埼京線「武蔵浦和」駅徒歩4分の分譲タイプのシニア向けレジデンス。フットワークや日常利便性だけでなく、同年代コミュニケーションや今と将来の安心・安全をコンセプトにつくられた住まいは多くのシニアに支持されました。

引戸を多用した専有部やオープンなコミュニティスペースなどユニバーサルデザインを実施。大浴場、内科系クリニックなどの共用施設や生活サポートスタッフによる「24時間見守りサービス」「サークル活動支援」なども導入しています。カラオケルーム、麻雀ルームなどの施設も用意されています。

朝食も採れる賃貸レジデンス「パークアクシス月島マチュアスタイル」

朝食も採れる賃貸レジデンス「パークアクシス月島マチュアスタイル」

「パークアクシス月島 マチュアスタイル」は、三井不動産レジデンシャルが提案するアクティブシニア向けの賃貸レジデンスです。東京メトロ有楽町線・都営大江戸線「月島」駅徒歩1分に立地。総戸数は、47戸。専有面積は、40.03平米~68.86平米と単身や二人で住むには、ゆとりある広さです。

ライブラリーも置かれた広々としたラウンジスペース、ダイニングはパーティーなどに利用できるオープンキッチン配置されています。「アソシエ」と呼ばれるコンシェルジュが、朝食や家事代行や健康サポートなどを行うことで、日々の生活を支援します。また、朝食の焼き立てパン、コーヒーなどが無料で楽しめます。

シニア世代といってもライフスタイルや健康状況は様々です。ハード面はもとよりソフト面の充実した住宅が選択肢となったのも平成でした。

再開発で誕生した複合レジデンス「プラウドタワー名古屋栄」

再開発で誕生した複合レジデンス「プラウドタワー名古屋栄」

都市再生の動きも長寿社会における住まいの選択肢をもたらしています。商・住・公・医が一体となる複合再開発で誕生するマンションは、共働き層だけでなく多くのシニア層にも支持されています。

バブル以降の高齢化や共働き層の増加などの社会構造の変化は、住まいに変化を促しより便利で快適な住まいのカタチを生みました。平成から令和に時代は移りますが次の30年(仮に)は大幅な人口減少など大きな波が待っています。2拠点で生活するデュアルライフが注目されているように、自分にとっての価値をより重視する時代になるのではないでしょうか。

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【編集後記】

平成元年4月に筆者は社会人となりました。バブル経済のまさにピークで、土地もマンション価格も高騰、住宅購入するには非常に厳しい時代でした。バブル崩壊後のマンション大量供給で住宅のストックも増加し、中古流通件数が新築マンションの供給戸数を上回るなど平成の30年で選択肢が多い恵まれた時代になったと感じます。

一方で、ライフスタイルも多様化し求められる住宅も細分化している気がします。岡山県倉敷市生まれの筆者から見ると、人口流入のある東京などの大都市圏はかなり恵まれています。かつての新興住宅街で一人暮らしの高齢者が増えるなど人口減少は既に各地で始まっています。短期的な視野でなく10年後、20年後を見据えて住まいを選ぶことが、より重要になるのではないでしょうか。

※2019年4月30日掲載 2019年11月9日追記