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令和4年地価公示発表 マンション価格への影響は?

大阪の都心部 ニュース&トピックス
大阪の都心部

2022年の地価が公示されました。公示地価とは、地価公示法に基づいて国土交通省土地鑑定委員会が、適正な地価の形成に寄与するために、毎年1月1日時点における標準地の正常な価格を3月に公示(令和4年地価公示では、26,000地点で実施)するもので、社会・経済活動についての制度インフラとなっています。

主な役割としては、一般の土地の取引に対して指標を与えることや不動産鑑定の規準となること、公共事業用地の取得価格算定の規準となること、土地の相続評価および固定資産税評価についての基準となること、国土利用計画法による土地の価格審査の規準となること。不動産取引の一つのモノサシとしても活用されます。全国の地価動向を紹介しつつ今後の影響を考えます。

全国平均の地価は、2年ぶりに上昇 地方4市の上昇率が拡大

まず、全国平均の地価動向ですが、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも2年ぶりに上昇に転じ地価の回復傾向が見られます。また、東京圏、大阪圏、名古屋圏の三大都市圏の状況は、全用途平均・住宅地は東京圏、大阪圏、名古屋圏のいずれも2年ぶりに上昇に転じました。いっぽうで、商業地は東京圏、名古屋圏は上昇に転じ、大阪圏は横ばいとなりました。

令和4年地価公示 全国の動向

令和4年地価公示 全国の動向

また、地方圏は、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも2年ぶりに上昇に。地方四市(札幌市、仙台市、広島市及び福岡市)では全用途平均・住宅地・商業地のいずれも上昇を継続し上昇率が拡大しました。また、地方四市を除くその他の地域では全用途平均・住宅地・商業地のいずれも下落が継続していますが下落率は縮小しました。

地価動向の傾向を挙げると住宅地については、景況感の改善を背景に、低金利環境の継続、住宅取得支援施策等による下支えの効果もあり、住宅需要は回復し、地価は上昇に。都市中心部の希少性が高い住宅地や交通利便性等に優れた住宅地で上昇が継続しており、生活スタイルの変化による需要者のニーズの多様化などにより、その周辺部にも上昇範囲が拡大しています。

商業地については、都心近郊部において、景況感の改善により、店舗やマンション用地に対する需要が高まり、上昇に転じた地点が多く見られます。駅徒歩圏内の繁華性のある商業地や地方圏の路線商業地など、日常生活に必要な店舗等の需要を対象とする地域では上昇地点が増加。また、再開発事業等の進展期待がある地域では上昇地点が見られます。

いっぽう、大阪のミナミのように国内外の来訪客が回復していない地域や飲食店舗等が集積する地域では、下落が継続している地域があります。『中央区道頓堀1-6-10』の-15.5%をはじめ、『中央区日本橋1-21-6』の-14.7%、『中央区宗右衛門町7-2』の-10.9%、『中央区心斎橋筋2-8-5』の-10.7%、『中央区難波1-8-2』の-9.9%、『中央区千日前2-4-13』の-9.7%と全国下落率上位6位までが、インバウンド需要が激減した大阪中央区が占めます。

また、都心中心部の一部の地域において、オフィス需要に弱い動きが見られ、下落している地域も見られます。

令和4年地価公示 住宅地の変動率

令和4年地価公示 住宅地の変動率

全国的に見ると、住宅地の回復傾向がより顕著で変動率がマイナスだった都道府県の数は、令和3年の38から令和4年は27に減っています。1%以上の変動率だったのは、東京都、北海道、宮城県、愛知県、福岡県、大分県で、うち北海道、宮城県、福岡県は、2%以上の高い伸びになっています。

なお、変動率のトップは、住宅地が北海道の「北広島市共栄町1丁目10番3 」の26.0%、商業地が北海道の「北広島市栄町1丁目1番3」の19.6%で北広島市が上位に並ぶ。北広島市は、北海道日本ハムファイターズの新本拠地の開業が来春に控えた場所。もともと地価水準は低く、将来性への期待もあり高い伸び率となりました。

なお、首都圏の住宅地の変動率上位は、『浦安市高洲3-19-2』(23万9千円)の7.7%、『横浜市西区岡野2-17-15』(43万円)の7.5%、『我孫子市我孫子3-31-3』(9万5千円)の7.0%と比較的地価水準の低い場所が上位に並びました。都心回帰の一極ではなく、コロナ禍で住まい選びの多様化が進んでいることを示しています。商業地も同様で、変動率上位3地点は柏市、相模原市、船橋市となっています。

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東京から郊外への動きはどこまで インフレ懸念で地価はどうなる

2021年新築分譲マンション契約者動向調査を見ると、3割以上の人は東京23区から他地域へ住み替えています。マンション価格が上昇する中で、値頃感ある他地域のマンションを購入する動きは、バブル期にも見られた傾向で現実的な判断でしょう。

いっぽうで、当時と異なるのは単身者のマンション購入割合が高まっていること。記事でもふれたように、単身世帯は東京23区のマンションを選択する傾向が強いため全体で見るとその度合いはバブル期と比べ小さくなるでしょう。一戸建てを選択する家族と異なり、マンション購入層の多くは、他地域でのマンション選びでも一定の通勤利便性を求めるのではと考えます。

マンション価格は、高止まりが続く状況ですが、交通利便性の高い場所は限られ、こうした立地の地価水準は当面は維持されるのではないでしょうか。

今後留意したいのは、インフレ懸念です。ロシアのウクライナ侵攻によって、資源価格の上昇が続いており欧米各国は金融緩和の縮小を強めています。結果的に、金融緩和を続ける日本との違いから円安も進んでおり2022年3月23日時点で121円を超えています。

資源価格の上昇による建築費のアップは、マンション事業の難易度を高め今後の供給戸数を減らす可能性があります。これから計画するマンションは、建築費抑制のための仕様ダウンが避けられないかもしれません。

2022年3月21日にコロナ禍におけるまん延防止措置は解除されましたが、終息にはまだ時間がかかりそう。ウクライナ侵攻の影響もあり先行きは不透明な状況です。ただし、円安や経常赤字の拡大、政府予算の増額など金利上昇リスクも高まっています。マンション購入をこれから検討するなら、資金計画をしっかり立てるべきだと思います。