湾岸エリアのマンションが今売れています。その理由の考察については、講談社が運営するマネー現代の記事にまとめたので、ぜひ参考にして下さい。
以下記事リンク↓
コロナ禍で「湾岸エリア」のマンションがまさかの絶好調!その意外な理由
記事をまとめる上で、マンションレビューというサイトのリセールバリューデータを使わして頂きました。新築時のデータと、中古マンションの売り出しデータから独自の手法で解析したもの。このようなデータは、他社や仲介会社も提供しているが筆者の想定と近似しており特に事例が豊富な湾岸エリアにおいては、ある程度参考になるデータと捉えます。
なお同サイトのコンセプトは、「ビッグデータ×AI」でマンションの適正相場、資産価値、居住者の口コミが分かる日本唯一のマンション情報サイトとなっています。
このデータからは、新築マンションのリセールバリューを考える上での知見が得られるので今回紹介させていただきます。なお、データはマンションレビューの2020年10月23日時点であり、必ずしもその相場で売買できるわけではないことを承知下さい。
豊洲シエルタワーがトップ 立地と街の完成度のギャップが価値を生む
まず、上位3物件を見てみましょう。トップは、豊洲駅徒歩1分の複合再開発タワー「豊洲シェルタワー」、2位がららぽーと豊洲と結ばれている「アーバンドックパークシティ豊洲」、3位が「ザ・トーキョータワーズ」となっています。
この3物件に共通するのは販売開始が、2000年代半ば前後の湾岸エリアの整備が進む前に供給されたマンションであること。ゆりかもめの開業が、1995年。大江戸線の全線開通が2000年。湾岸エリアの開発が大きく進んだのは2000年以降です。
当初27,000人台だったゆりかもめの一日利用者数は、2018年には129,000人台に。利用者が増えるとともに街の価値が上がるのは当然でしょう。
人口増加数を見ても、勝どき、豊洲は人口の伸びが大きい。4位にランクされた「Wコンフォートタワーズ」は、2005年3月にオープンした東雲のUR大規模賃貸「東雲キャナルコートCODAN」がオープンする前に建てられたもの。需給バランスで見て、後々需要超過になるのは見えていたといえるかもしれません。
月島駅周辺の再開発タワーの多くは、グッドデザイン賞受賞の「ライオンズタワー月島」をはじめ2000年代半ばに建てられたものが多いですが軒並み20%超の上昇率です。後背地の人口が増えることで、月島の立地の優位性がさらに高まったと思われます。
駅直人気「キャピタルゲートプレイス ザ・タワー」「豊洲シエルタワー」
2010年代以降の上昇率が顕著なのが「月島」駅直結のタワーレジデンス「キャピタルゲートプレイス」です。地下通路からエレベーターでマンション内へアクセス。雨の日も傘を利用しなくても往来が可能です。
「豊洲シエルタワー」にも言えることですが、駅直結のマンションの低層部にはカフェや物販店、飲食店、クリニックなど多彩な生活利便施設が入ることが多い。駅前だから出店ニーズも高いのです。自ずと、マンションの認知も高まりウェイティング客も増えやすい。同一エリアからの住み替えニーズもあり需給バランス面で、将来的に価値を維持しやすいのだと思われます。
しかし、駅からそれ程近くないマンションでも上昇率が高いプロジェクトがあります。「スカイズタワー&ガーデン」と「パークタワー東雲」です。こちらの要因を考えてみたいと思います。
免震構造などの防災対策と多彩な共用施設が優位性を築く
「スカイズタワー&ガーデン」と「パークタワー東雲」に共有するのが免震構造採用などの防災性の高さとスケールを活かした共用施設の充実です。
ともに東日本大震災後の供給ということもありマンションの防災性能が問われた発売時期でした。「スカイズタワー&ガーデン」は、免震構造と制振構造を組み合わせた「シミズ・トライスター型ハイブリッド免制震システム」を採用しています。また、「パークタワー東雲」は、「免震構造」を採用。共用施設の場所を分散するなど災害時対応も考えたプランニングです。また、マンションとしては数少ない「長期優良住宅認定」も受けており耐久性も高いつくりです。
参考記事 これはGood!豊洲のスカイズ タワー&ガーデンを見学(オールアバウト)
参考記事 空に伸びる街づくりパークタワー東雲が竣工(オールアバウト)
また、多彩な共用施設も両物件の魅力で、総戸数1110戸の「スカイズタワー&ガーデン」には、ガーデンラウンジのほかフィットネスやプール、ジャグジーや天体観測ドームまで用意されています。さらに一部の施設は、隣接する「ベイズタワー&ガーデン」と相互利用が可能。ゲストルームやキッズルーム、ラウンジ&バーなど子供から大人まで楽しめる施設があるホテルライクを超えたマンションです。
「スカイズタワー&ガーデン」と「ベイズタワー&ガーデン」は、ほぼ立地が同じで使える共用施設も一緒なのですが上昇度合いでは「スカイズタワー&ガーデン」が上回ります。これは、販売時期が「スカイズタワー&ガーデン」が早く売出価格も「スカイズタワー&ガーデン」の方が安かったから。伸びている街では、数年違いでも相場観が変わってきます。
また、2013年10月完成の「ザ・パークハウス晴海タワーズクロノレジデンス 」と2016年3月竣工の「ザ・パークハウス晴海タワーズティアロレジデンス 」の上昇率の違いは「ザ・パークハウス晴海タワーズクロノレジデンス 」の方が、勝どき駅に近いのと囲まれ感がないからです。
「パークタワー晴海」が完成したことで「ザ・パークハウス晴海タワーズティアロレジデンス 」は、両側にタワーが建つ中間の位置に。開放感がある住戸が「ザ・パークハウス晴海タワーズクロノレジデンス 」の方が多く、リセールの場合も評価されやすいのです。
ご存知の方も多いと思いますが、「アーバンドックパークシティ豊洲」では、キャナルフロントになる西向き住戸の方が内陸側になる東向きよりも人気があり成約価格は高くなります。資産性をマンションに求めるなら、マンション内の向きや階数もよく考えて住戸を選ぶことが大切です。
いま、湾岸エリアの新築マンション市場は、比較的ラインナップが揃っています。
「プラウドシティ東雲キャナルマークス」、「シティタワーズ東京ベイ」、「ブランズタワー豊洲」、「パークタワー勝どきミッド/サウス」、「 Brillia Tower 有明 MID CROSS」と選べる物件数や住戸が多い。5年後、10年後どうなっていくかを思い描くことで良い選択ができるのではないでしょうか。
供給されたほとんどのマンションがプラスに転じてる湾岸エリア。その中でも上昇度合いに大きな開きがありその要因が時期だけではないことはご理解ください。
【編集後記】
一覧表には掲載していませんが、データを見ると大規模マンション以外にも上昇率が高いマンションがかなりありました。多くは2000年代に建てられたものでタイミングはやはり大切であることを認識しました。有明で入っている2物件とも2000年代前半に供給されたマンションです。
高価格帯のマンションがまとまった数売れるためには、地元の賃貸需要が必要です。そういう意味では、大川端リバーシティ21が90年代から造られた月島エリアの上昇率が高いのも頷けます。勝どきエリアも、もともと賃貸ストックが大きい。「パークタワー勝どきミッド」の集客が好調なのも必然でしょう。
また、通勤利便性の高い場所のマンションは、築年数とともに賃貸比率が高まります。豊洲エリアの売れ行きが堅調なのは分譲賃貸から購入する一次取得者が増えているからでしょう。街が成熟してきた証と言えるかもしれません。
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