港区麻布十番一丁目。かつて「麻布十番温泉」が営業していた麻布商店街沿いの角地に「ルネ麻布十番ビル」(建築主 総合地所 施工 長谷工コーポレーション)は誕生します。新たな賑わいを創出するライフスタイルホテルと商業のコンプレックスビル。東京メトロ南北線・都営大江戸線「麻布十番」駅から徒歩 3 分の好アクセスの利便性の高いロケーションです。
ビルには、グローバルエージェンツ(本社:東京都渋谷区)が運営するライフスタイルホテル「THE LIVELY 麻布十番」と、飲食店、物販店(セブンイレブン)がテナントとして入ります。
地下1階・地上9階建ての建物のうちの2階~9階部分を占める「THE LIVELY 麻布十番」は、ソーシャルアパートメント、ホテル、カフェなど様々なライフスタイル事業を手掛けるグローバルエージェンツが提供するライフスタイルホテルです。
特徴的なフロントや開放的な吹き抜けのロビーを進むと、ビリヤード台も置かれた広々したラウンジスペースがあります。お洒落なバーラウンジのようなつくりで、夕方6時~7時まではフリーでドリンクを提供。24時間オープンしており、宿泊客はいつでも利用できます。
ソーシャルアパートメントを展開している同社が得意とするのは、交流を育む演出。外国人観光客が求めるゲスト同士の交流をこうした場の提供によってサポートします。
9階には、宿泊客以外も利用できるバー「THE LIVELY BAR」を設置。滞在客の寛ぎの場となるだけでなく、来街客との交流もはかれます。
スタンダードダブルルーム2万円前後 最上階テラス付4人部屋は4万円台~
客室はおおまかに、20平米のスタンダードダブルルーム、26平米ツインルーム、テラス付4人部屋40平米の3タイプ。料金設定はシーズンによって変わるが徒歩圏の六本木駅周辺よりもやや抑えた設定とのこと。
客室のテラスからは、空が真上に覗いて開放的。グループで日本に訪ねる外国人も目立つので、4ベットタイプの部屋のニーズは結構あるのではないでしょうか。
20平米台の客室もシャワーを設けコンパクトにまとまっていて機能的なつくり。HPの予約サイトでは、10月31日12時時点の最安値料金は、17,000円(税込)と表示されているのでリーズナブルな印象です。
ホテルのオペレーションでは、顧客満足度を高めるため一定の稼働率をキープする設定で満室稼働にこだわっていないとのことでしたが、現在の予約状況は堅調で外国人の予約比率は約70%ととのこと。鳥居坂が近く、六本木ヒルズも身近な拠点性の高い立地なので来街客の増加にも寄与しそうです。
2階にカフェ・レストラン 地下には焼き肉店と炉端焼きレストラン
沿道に面した2階には、大きなテラスのあるカフェ・レストラン、地下1階には焼き肉店「薩摩 牛の蔵 麻布十番店」、炉端焼き居酒屋「なかめのてっぺん」が入ります。
麻布十番商店街の沿道には、洒落たお店が建ち並び歩いていて賑わいを感じますが、立体的な「憩い」 「賑わい」の溜りを設け、商店街との調和・連続性を意識した空間を構成しています。
また、低層部のファザードは、街並みとの調和をはかり、軒・庇・袖壁により建物を分節し、街並みとの連続性を確保しています。
2020年を控え街の魅力がある都心の好立地は、ホテルの開業が相次いでいますが外国からの来街客の増加は、街の魅力をさらにアップするかもしれません。こうした街のトレンドには注目したいと思います。
【編集後記】
筆者は、2000年代初頭に麻布十番商店街で2週間研修を受けたことがあり馴染みのある街です。六本木ヒルズ誕生以降のこの10数年の街の変貌には驚かされます。
有栖川公園や多くの大使館などがある歴史ある場所ですが、相次ぐ周辺の再開発で街で暮らす魅力もアップしています。麻布十番エリアでのマンション供給も限られているので「パークコート南麻布」など新規物件の売れ行きも堅調です。「麻布十番」駅から徒歩3分の好立地だけに分譲マンションであったとしても注目を浴びたと考えられます。
現在の台東区の秋葉原~浅草界隈に見られるように、ホテルニーズの多寡はマンションの需給にも少なからず影響するとともに住環境にも変化が生じます。こうした点を踏まえて住む場所も検討するべきかもしれません。