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都市に賑わいを与える超高層に「新宿住友ビル・三角広場」大改修完成

新宿住友ビル三角広場 ニュース&トピックス
新宿住友ビル三角広場

新宿副都心計画で誕生した日本初の200m超「新宿住友ビル」の大改修完了

建設中の「新宿住友ビル」

建設中の「新宿住友ビル」

1960年、新宿副都心計画により淀橋浄水場跡地に総合ビジネスセンターを建設する一大プロジェクトがスタートしました。新宿駅西口を扇の要として、北は青梅街道、南は甲州街道、西は十二社通りに囲まれる地域(96万㎡)に、広場、地下道、公園、宅地、建築物の全てを建設する基盤の整備。

約7mの高低差を活かした歩車分離の街路、11区画のスーパーブロック宅地(約12,000~19,000㎡)が築造。巨大宅地に立つ計画建物は周囲に空地を確保し、良好な環境を有した建築物とすることで容積率の緩和を図る制度「特定街区制度」を適用。日本初の超高層ビル群が誕生しました。

将来的にも有効な都市環境を担保するため、歩車の完全分離や地域冷暖房など安全性や環境にも配慮した先進的な街づくり。「新宿住友ビル」は、新宿副都心のほぼ中心に位置し、オフィスビルとしては初の超高層ビルとして1971年11月に着工が始まりました。

竣工後の新宿住友ビル

竣工後の新宿住友ビル

1974年3月に完成した「新宿住友ビル」は、日本で初めて高さ200メートルを超え当時としては日本一の超高層ビルに。 飲食物販、カルチャー、スポーツなど の多面的な機能で構成され街としての機能を持つ複合商業ビルは当時は画期的でした。

その後、東京都庁が新宿へ移転し、行政・ビジネスの中心地として確固たる地位を得ました。現在、新宿西口は約20万人が働く業務集積地であるとともに、百貨店やホテル、大学、病院など多様な機能が内包されています。

改修前の「新宿住友ビル」

改修前の「新宿住友ビル」

一方で、超高層ビル群は、豊かな規模の街路空間や公開空地を有する一方、全体の約80%を占める オープンスペースによって賑わいが霧散し、地上と地下の二層構造は人々の回遊性を妨げてきました。

印象的な三角形の外観から「三角ビル」の愛称で、昭和・平成・令和と時代をまたいで多くの人に親しまれてきた「新宿住友ビル」も 近年では既存建物の設備更新や賑わいの薄れたビル足元空間の一新が課題となっていました。

2014年3月に「西新宿まちづくり指針」により、官民オープンスペースの一体的な利用が掲げられ、公開空地や建物ロビー空間への賑わい施設の設置や、地区間回遊の促進・災害対策の強化が方針として定められました。

「新宿住友ビル」改修後のエントランス

「新宿住友ビル」改修後のエントランス

住友不動産は、「新宿住友ビル」の公開空地全域に大屋根を架けることで、“賑わい、バリアフリー化、災害時の一時滞在施設の確保“ などを行政に提案。2011年3月11日 東日本大震災が発生したこともあり、都市防災力に資するパブリックスペースの活用の機運が醸成されました。

改修後の「新宿住友ビル」

改修後の「新宿住友ビル」

国家戦略特区の認定を受け大規模リノベーション工事に着手。完成した「三角広場」は、西新宿の賑わい活性の新拠点となり、街の回遊性を高める取り組みとして注目を集めています。

改修後の「新宿住友ビル」

改修後の「新宿住友ビル」

国家戦略特区の枠組みを活用し特定街区の都市計画を変更することで前例のない 超高層ビルの大規模改修工事を実現。新設された 国内最大級の全天候型イベント空間「三角広場」は、街路を行き交う人々の目線に変化に富んだ新たな都市景観と届け、新たな西新宿の賑わいの拠点になります。

実際に現地を訪ねると、西新宿エリアには乏しかった賑わいを醸成。ショップ&レストランは、地下1階~ 地上2階に全26店舗がオープン。多彩なライフスタイルに応えています。

新宿住友ビル

新宿住友ビル

三角広場は、大屋根・外壁共にガラスで構成された内部空間のアトリウム。屋内でありながら光あふれる開放的な空間に仕上がっています。フレキシブルに利用できるよう約6700平米の平土間となっており有効高さは最大約25mもあります。

パブリックビューイング(イメージ)

パブリックビューイング(イメージ)

多様な用途を想定し、 常設型の賑わい空間 「三角広場」では、オフィスワーカーだけでなく ファミリーや観光客など新たな人の流れをつくります。イベント用設備として、機材搬入用エレベータ、イベント用専用電源、配線ピット、給排水ユニットを用意。大型LEDモニタや音響設備、調光・調色が可能な照明システムなどイベントに対応しやすい仕様となっています。

スポーツイベント(イメージ)

スポーツイベント(イメージ)

この 「三角広場」は、地震などの有事が起こった際には、帰宅困難者の一時滞在施設として2,850名を受入れます。国際ビジネス環境整備として、地下2階には国際会議開催に対応した 「新宿住友ホール」が従前の約3倍の広さとなってリニューアルオープンしています。

「建て替えに依らない賑わい再生」を図るため、20年以上の歳月をかけて実現したプロジェクト。大屋根新設工事と併せて大規模な建物改修工事を実施。制振補強による耐震性強化や、エレベーター・エスカレーターの耐震改修、オイルタンク・発電機設備の増強など、BCP性能やターミナルシティにおける防災対応力を高めています。

「新宿住友ビル」は、1974年の完成から間もなく50年を迎えます。100年を目指す大規模なリノベーションは、オフィスビルの先駆的な例になるのではないでしょうか。持続可能な社会の一翼を担う新宿副都心の新たな「場」のイノベーション。「三角広場」がどんなライフシーンを演出するか注目したいと思います。

 

新宿住友ビルの敷地内にある出雲大社の分祀

新宿住友ビルの敷地内にある出雲大社の分祀

【編集後記】

日本の建物寿命は、欧米諸国と比べ短いと言われています。それは、耐久性や耐震性などの物理的要素だけでなく、経済的陳腐化など時代にそぐわなくなることも一因です。「新宿住友ビル」は、約半世紀前の建物とは思えないランドマークとしての魅力とオフィスとしての機能美を備えています。だからこそ、建て替えではなく都市インフラを担う大規模なリノベーションとして再生できたのでしょう。

将来を見据えた基本プランの重要性は、街づくりや住居など他用途の建物のプランニングにも言えることでしょう。50年、100年先の未来を考えた街づくり住まいづくりがより一層、求められるのではないでしょうか。