『街とマンションのトレンド情報』をタイムリーに発信します。

記事本数計400本! 100万PV超 
かけがえのない人生に豊かさと自由を
より良き『住まい・社会・未来』

「パークシティ中野 ザ タワー」反響1万件超PJのコンセプトルーム見学

令和2年第2四半期地価 銀座、歌舞伎町、上野などが下落に

銀座の街並み マーケット情報
銀座の街並み

2020年8月21日、国土交通省から主要都市の高度利用地等(全国100 地区)における令和2年4月1日~令和2年7月1日(令和2年第2四半期)の地価動向(地価ルックレポート)が発表されました。

地価LOOKレポートとは、主要都市の地価動向を先行的に表しやすい高度利用地等の地区について、四半期毎に地価動向を把握することにより先行的な地価動向を明らかにするもの。銀座、歌舞伎町などの商業地や番町などの人気住宅地のうち全国100地点を不動産鑑定士によって定点調査しています。

全国に発令された緊急事態宣言を受けての地価データ。今後の不動産マーケットの動向の行方を占う上でも重要な指標です。発表されたデータを紹介し当面の動きを考えます。

100地点中下落地点が38%に。3%以上の下落地点も平成23年以来8件出現

令和2年第2四半期の主要都市の高度利用地等 100 地区における地価動向は、上昇が 1 地区(前回 73)、横ばいが 61 地区(前回 23)、下落が 38 地区(前回4)となり、1地区を除いて横ばい又は下落となりました。

上昇の地区数は前回の69から大きく減少し 「中央1丁目」(仙台市)の1地区(3%未満の上昇)のみになりました。横ばいは 61 地区となり、前回の23と比較して増加しています。

全国唯一の上昇地点がある仙台駅前

全国唯一の上昇地点がある仙台駅前

また3%未満の下落が 30 地区と前回の4地区より増加、3%以上6%未満の下落は8地区となっており、平成 23 年第4四半期以来となる3%を超える下落が発生。全体の38%の地区が下落になっています。

変動率区分が下方に移行にしたのは、75地区で上方に移行したのは1地区のみです。用途別では商業系が住宅系より下落地区の割合が高く、地域別では大都市圏が地方圏より下落地区の割合がやや高くなっています。

新型コロナウイルス感染症の影響で、需要者の様子見など取引の停滞が広がり、ホテルや店舗を中心に収益性低下への懸念から需要の減退が一部では見られています。また、 リーマンショック時の地価下落の主因となった、マンションやオフィスの需給バランスに大きな変化は見られていません。

なお、今回は7 月1 日時点における評価であり、7月下旬の全国的な新型コロナウィルス感染拡大の影響は考慮されておりません。

東京都で4地点下落現る 銀座中央、歌舞伎町、新宿3丁目、上野の商業地

横ばいから上昇トレンドにあった東京都でも下落地点が現れています。銀座中央、歌舞伎町、新宿3丁目、上野の4地点。共通するのがインバウンド需要減退の影響です。

地区毎の総合評価(変動率)の推移 東京都

地区毎の総合評価(変動率)の推移 東京都  オレンジ(3~6%上昇)黄(3%未満上昇)空(3%未満下落)青(3~6%下落) 出典 地価Lookレポート令和2年第2四半期

一般社団法人全国百貨店協会発表の令和2年6月度の東京都の百貨店売上げは、前年同月比で―24.3%。7月もー27.9%と厳しい状況が続いており銀座、新宿などの商業地の店舗売り上げは非常に厳しい状況が続いています。大幅な売り上げの減少は、外出自粛による内需の減退に加え、急減したインバウンド需要の影響も大きいです。

平成30年国・地域別外国人旅行者行動特性調査

平成30年国・地域別外国人旅行者行動特性調査(訪問した場所)

平成30年国・地域別外国人旅行者行動特性調査による東京都で外局人旅行者が訪問した1位が新宿・大久保(55.4%)。2位に銀座(48.9%)が入り、上野も34.5%と上位にランクしています。夜も遊べる場所として外国人に人気だった歌舞伎町、アジア系中心の買い物客で賑わった銀座、宿泊施設が近年整備された上野界隈が新型コロナウィルス感染拡大で下落に転じているのは当然の結果といえるかもしれません。

一方で、首都圏の他エリアで下落地点があるのは横浜市の元町地区のみです。次回の発表は3か月後(11月)になりますが、他エリアに波及するかどうかは注視が必要です。

一般社団法人日本スーパーマーケット協会発表の令和2年6月度の関東地方のスーパー売上高は、既存店ベースで対前年比106.8%とプラスです。テレワークなどの導入で自宅周辺での消費が増えておりコンビニエンスストアや百貨店の売り上げが減っているの対し伸びています。こうした動向は、郊外の地価にはプラス要因となります。

4月~6月期のGDPが大幅にマイナスになっており、雇用や給与所得への影響はこれからも大きくなりそうです。リーマンショックの際は、地価LOOKレポートの下落地点増加したタイミングが地価トレンドの変換点になりました。その点を留意しつつ不動産市場の動向を注視したいと思います。