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「都市型体験農園サービス」始まる ディベロッパーが農業分野に進出

「都市型体験農園サービス」を行う世田谷区中町 ニュース&トピックス
「都市型体験農園サービス」を行う世田谷区中町

野村不動産株式会社と世田谷目黒農業協同組合(JA世田谷目黒)は、業務提携契約を結び、世田谷区中町(東京都)にて「都市型体験農園サービス」を 2020 年 11 月より開始します。

大手ディベロッパーの農業分野への取り組みは、近年盛んです。2018年に三菱地所株式会社が農業ベンチャー企業である株式会社オーガニックソイルと共に設立した「株式会社メックアグリ」に出資。太陽光利用型環境制御ハウス による高糖度ミニトマトの生産・販売に取り組みを始めています。

2020年8月には、三井不動産株式会社が有限会社ワールドファームと「三井不動産ワールドファーム株式会社」を設立。持続可能なスマート農業事業を通じた農地の生産性向上と、農業を基点に都心と近郊地域の人々を繋ぐ新たな「都市づくり」を目指し、東京都心近郊地域での農業事業に本格的に参入します。

 

令和元年のカロリーベース総合食料自給率(農林水産省発表)は、1人1日当たり国産供給熱量(918kcal)/1人1日当たり供給熱量(2,426kcal)で38%と低水準。また、農業従事者の高齢化による離農者の増加などの課題が多くあります。

豊富な資金力と様々なネットワークを持つディベロッパーが農業分野に進出することで、活性化やライフスタイルの創造による新たな価値の創造が期待できそう。野村不動産とJA世田谷目黒が業務提携し行う「都市型体験農園サービス」は、以下の内容になります。

作付けから収穫まで本格的な体験農業 手軽に安心して野菜作りを楽しめる

【「都市型体験農園サービス」サービス概要】
「都市型体験農園サービス」は、JA世田谷目黒のサポートのもと、作付けから収穫まで本格的な体験農業を行うことができるサービス。農具の貸出、作付けの種・苗や肥料はすべてサービスに含まれており、初心者の方でも手軽に安心して様々な野菜づくりを楽しむことができます。

「都市型体験農園サービス」

「都市型体験農園サービス」

■農園所在地 :東京都世田谷区中町 3 丁目(東急大井町線「上野毛」駅徒歩 9 分)
■体験農園面積 :2,000 ㎡超(JA世田谷目黒の組合員所有農地の一部)
■サービス対象者 :野村不動産グループカスタマークラブ会員※
■サービス開始時期 :2020 年 11 月(予定)
■サービスに含まれるもの:JA世田谷目黒のサポートによる農業体験(種・苗・肥料提供、農具貸出等)
■料金 :1区画月額利用料 5,000 円(3.6 ㎡あたり)、初回登録料 5,000 円 (2021 年 3 月までは利用料 2,000 円/月、初回登録料無料)
※野村不動産カスタマークラブとは
野村不動産グループ 3 社(野村不動産、野村不動産アーバンネット、野村不動産パートナーズ)いずれかで取引した顧客会員組織(入会費・年会費無料)。会員数約 13 万人(2020 年7月時点)

 

「都市農地」は、新鮮な農産物の供給、災害に備えたオープンスペース、潤いある環境・景観形成等、多様な機能を有するグリーンインフラとして、都市部における重要な役割を担っています。

一方、日本における農業従事者の減少・高齢化等の課題は年々深刻化。国は、都市農地の保全や機能維持のための新たな仕組みとして、「都市農地貸借法(都市農地の貸借の円滑化に関する法律)」を 2018 年に制定し、都市農地の貸借が緩和。一般市民が様々な形で都市農業に関わる手段が徐々に整備・拡大されています。

新型コロナウイルスの影響により家族と過ごす時間や自宅での食事の増加、健康への意識の高まり、レジャーの新しいあり方等、定着しつつある新しい生活様式において、都市農園が果たす役割が大きくなりそうです。

経済産業省の最新商業動態統計速報2020年6月分では、全国のホームセンターにおける園芸関連商品の売上が、前年同月比 20.3%増となっている。新型コロナウイルスによって、農業が身近になり、家庭菜園や食糧の自給自足へのニーズは大きく高まっていることが伺えます。

タキイ種苗株式会社のアンケート「野菜つくりなどに関する全国の20歳以上の男女600人(調査期間:2020.7.18~7.21)

タキイ種苗株式会社のアンケート調査「野菜つくりなどについて」全国の20歳以上の男女600人(調査期間:2020.7.18~7.21)

タキイ種苗株式会社が全国の20歳以上の男女600人(農業関連従事者など除く)を対象に、野菜作り(家庭菜園/ベランダ菜園)の関心度、実践状況等について行った調査(インターネット調査)(調査期間:2020.7.18~7.21)によれば、家庭菜園の経験者半数あり、未経験者で「家庭菜園で野菜を作りたい」人は31.2%。家庭菜園ニーズはかなり高くなっています。

 

家庭菜園を始めた時期と継続意向(出典 タキイ種苗株式会社 アンケート)

家庭菜園を始めた時期と継続意向(出典 タキイ種苗株式会社 アンケート)

また、現在家庭菜園を行っている人のうち「外出自粛期間」以降に家庭菜園を始めた人が29.6%。そのうち継続意向の方は96.2%に上っています。

農業構造動態調査によれば、1976年(昭和51年)の農業従事者数は、1273万人超。2019年(令和元年)が、276万人余りですので1000万人近く減少しています。都市部に適度に農地があることは、防災の上でも有効です。農地の保全・有効活用のニーズは、今後もたかまるのではないでしょうか。

 

【編集後記】

筆者の生まれ育った岡山県は、ぶどうなどの栽培が盛んで、当時は地域に兼業農家の人も多く米作りや野菜作りを身近に見て育ちました。

家庭菜園のナス

家庭菜園のナス

家庭菜園で、ナスやトマト、ピーマンなどを育てたこともありますが、日当たり、水やり、間引き、受粉など野菜作りは学びがとても多く、奥の深さを感じます。

とはいえ、手間や準備がかかるのも野菜作り。気軽に始められるサービスの誕生は、多くの人の野菜作りのきっかけになるのではないでしょうか。