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1976年築賃貸住宅が新築並みの賃料「リファイニング建築」見学

リファイニング建築で再生した「ヴァロータ氷川台」 ニュース&トピックス
リファイニング建築で再生した「ヴァロータ氷川台」

三井不動産株式会社が取り組む「リファイニング建築」を活用した老朽化不動産再生コンサルティングサービス。新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに進むワークスタイルやライフスタイルの多様化にあわせ、「リモートワークとコロナ対策」という社会的ニーズを商品企画に取り入れたリファイニング建築物件(練馬区、1976年築賃貸住宅)が竣工しました。

リファイニング建築サロンを同物件内に期間限定で開設、サロン見学会および竣工見学会が9月15日に開催されました。既に賃貸住宅は募集中で、内覧可能前にも関わらず19戸中9戸にが入っています(2020年9月14日時点)。リファイニング建築物件「ヴァローザ氷川台」をレポートします。

【敷地概要】
所在地:練馬区氷川台3-27-3
交通:地下鉄有楽町線・副都心線「氷川台」駅徒歩3分
用途地域/防火地域など:第一種住居地域/準防火地域
敷地面積:795.35㎡

旧耐震賃貸レジデンスを建築家・三井不動産グループが再生

従前の1976年築の賃貸レジデンスの外観写真

従前の1976年築の賃貸レジデンスの外観写真

有楽町線・副都心線「氷川台」駅徒歩3分のリファイニング建築物件「ヴァローザ氷川台」。南側の道路に面した外観は、新築マンションと見間違うほど洗練されたデザイン。リファイニングに携わったのは、三井不動産と青木茂建築工房。代表の青木茂氏は、リファイニング建築で数多くの実績があり、2016年より三井不動産グループと連携、同社とは既に5物件のリファイニング建築を手掛けています。

リファイニング建築は、旧耐震基準(1981年5月31日までの建築確認に適用された耐震基準)の建物を解体することなく新築同等に再生することが可能な建築手法。建替えの場合と比較して事業費低減、事業期間短縮が可能となるといった特徴があります。しかし法規制がある中での再生は容易ではなく、事業スキームの構築力や企画力が必要になります。

「ヴァロータ氷川台」の1階住戸には、専用駐車場が付設

「ヴァロータ氷川台」の1階住戸には、専用駐車場が付設

「ヴァロータ氷川台」では、従前の賃貸住宅の構造躯体を活かしつつ様々な工夫をすることで耐震性を強化とともに、今の時代にあった賃貸住宅に再生しています。

「ヴァロータ氷川台」のエントランスアプローチ

「ヴァロータ氷川台」のエントランスアプローチ かつて駐輪場があった

例えば、南側にあったエントランスは、北側に配置し住戸専有部に組み込み居住面積を拡大。自転車置き場だったスペースをエントランスへの通路とし外廊下は外壁を施し内廊下に。さらに、エレベーターを増築しています。

「ヴァロータ氷川台」のエントランス

「ヴァロータ氷川台」のエントランス

子育てファミリーや高齢者にとってはエレベーターは便利な設備で、新たに備え付けることでターゲット拡大につながるでしょう。また、内廊下にすることで耐震性を高めるとともに防犯にもプラスの効果が考えられます。

「ヴァロータ氷川台」の内廊下

「ヴァロータ氷川台」の内廊下

エントランスには、オートロックを設置。共用部における“非接触や除菌”によるコロナ対策入居者が安心して生活できるよう、エントランスへの除菌ジェル設置、ごみ保管庫等不特定多数の方が触れる可能性のあるドア取手へのアタッチメント設置、エレベーター内ボタン等への除菌シートの貼付、各居室の玄関扉への除菌ジェル用のホルダー設置等、共用部のコロナ対策も行われています。

内廊下からのアプローチは、大判タイルを貼った上質な空間。玄関ドアもお洒落なデザイナーズマンションです。もともと全戸南向きで開放感があり、住戸の日当たりは十分。従前のバルコニー部分を居室化するとともに、ハイサッシで開放的な空間を創出。リビングにリモートワークスペースとして利用できる空間を確保し、専用のコンセントやダウンライトも設置されています。

リファイングならではの面白い空間 駐車場、ルーフバルコニー付も

「ヴァロータ氷川台」のルーフバルコニー

「ヴァロータ氷川台」のルーフバルコニー

リファイニング物件「ヴァロータ氷川台」の住戸を見学して感じたのは、新築賃貸住宅、分譲住宅に見られない面白さがあること。例えば、かつて平置き駐車場とエントランスがあった南面には、1階住戸の専用駐車場とテラスを設置。もともと1階部分が地上より高い位置にあったためプライバシー性も高い。住戸境にはコンクリート壁を設けることで隣住戸との境もクリアにしている。

「ヴァロータ氷川台」の1階住戸の専用駐車場

「ヴァロータ氷川台」の1階住戸の専用駐車場

かつてなかった広いテラス付きの1階住戸やルーフバルコニー付住戸など従前の建物躯体を活かしつつ個性的な間取りを提案。個性的なデザインは、外観や共用部だけでなく住戸内にもおよび、間接照明で落ち着いた雰囲気を演出するなど細やかな提案が随所にみられます。

梁の部分もコーディネートでデザインぽくなっていて、個性を感じます。

「ヴァロータ氷川台」の広いテラス付きの1階住戸

「ヴァロータ氷川台」の広いテラス付きの1階住戸

全居室二重床を採用し天井高も十分確保。間仕切りできるウォールドアは、レールタイプではない上吊りのものを採用するなど分譲マンションよりも高いスペックの設備も。設備の水準は高いと感じました。

「ヴァロータ氷川台」の住戸のリビング

「ヴァロータ氷川台」の住戸のリビング

同マンションでは、リファイニング建築の特徴を実際に見学いただくことを目的としたリファイニング建築サロンを期間限定でオープン。期間は、9月18日~12月中旬(予定)です。

間取り例

間取り例

リファイニング建築サロンでは、従前と比較した内外装のデザインや設計のポイント等について、パネルを用いての説明、リモートワーク対応の家具を配置したモデルルームの見学、リファイニング建築の過程建物調査・補修や耐震補強等、目に見えない改修の内容をパネルや模型により展示しています。

「ヴァロータ氷川台」のモデルルーム

「ヴァロータ氷川台」のモデルルーム

間取りは、従前は2DK中心でしたが開放的な1LDKに。オープンな使い方が可能でカップルが暮らしやすそう。運営は、三井不動産レジデンシャルリースが担当。賃料は、新築並みの月額坪12,000円前後の設定ですが駅近のロケーションや南向きの開放感、新築分譲並みの設備・仕様を考えるとリーズナブルに感じます。

繁忙期ではない今、内見前にも関わらず半数近くに申し込みが入っているのは期待の表れでしょう。住まいはオンリーワンであることを感じさせてくれるリファイン建築「ヴァロータ氷川台」。建築のプロと不動産会社のコラボレーション力を実感しました。

また、2015年9月に国連サミットで採択された、SDGs(持続可能な開発目標)の3項目(住み続けられるまちづくりを、つくる責任 つかう責任、パートナーシップで目標を達成しよう)にも貢献しています。サスティナブルな世界に向けてこうした取り組みは、今後もっと注目されるのではないでしょうか。

※SDGs(持続可能な開発目標)とは・・Sustainable Development Goals: SDGs〈エスディージーズ〉とは国連の持続可能な開発のための国際目標であり、17のグローバル目標と169のターゲット(達成基準)から成る。 2015年9月の国連総会で採択された『我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダと題する成果文書で示された2030年に向けた具体的行動指針。(出典:ウィキペディア)

 

【新規計画概要(予定)】
用途:賃貸住宅(19戸)
構造:RC造一部S造
建築年:2020年9月中旬竣工予定(1976年築)
延床面積/建築面積:1143.99㎡/380.43㎡(従前869.41㎡/269.78㎡)
建築確認申請・検査済証:工事種別:大規模の模様替え・増築、検査済証取得予定
補強計画:耐震壁の新設により耐震指標Is値0.6を確保
共用部:アプローチ及びエントランス新設、エレベーター新設、ポスト新設、宅配ロッカー新設、駐輪場新設、オートロック新設、玄関扉・その他共用

【編集後記】

築年数の古い建物の再生は、耐震性だけでなく生活スタイルの変化への対応など解決すべき課題が多くなります。建築コストが高止まりする中では、スケールが中規模の共同住宅などは建て替えでは、費用対効果が見出しにくいもの。青木茂建築工房と三井不動産グループが関わった本プロジェクトでは、見事にオーナーの課題を解決しています。

人口減少が続く日本では、こうしたリファイン建築のような再生案件は今後も増えていくでしょう。そうした中で大切なのは、与件を踏まえつつ新たな価値を提供する力。今後もこうした再生プロジェクトに注目していきたいと思います。

(2020年9月17日 エントランス写真追加)