SUUMOが2020年9月に実施した第2回 コロナ禍を受けた『住宅購入・建築検討者』調査によれば、全国的に「駅からの距離」よりも「広さ」を重視する傾向が強まるなど住まい選びに変化が起きています。中でも顕著なのが、コロナ禍を受けて20代や年収400万円未満の一次取得者と思われる方の購入意欲が大きく高まっていることです。
住まい選びに失敗はつきものですが、あとから「失敗した」ではすまないのも住まい選び。購入する前に、一定の知識を身につけた方が良いでしょう。その中で、おすすめしたいのが2020年12月16日にKADOKAWAから発刊されたムック本『コロナ時代にどう変わる? 知らなきゃ損する家とお金の話』(編集・著作 ARUHIマガジン編集部)。どんな本かを紹介します。
世帯年収400万円未満、年齢20代 「購入が促進された」が50%超
SUUMOが2020年9月に実施した第2回 コロナ禍を受けた『住宅購入・建築検討者』調査によれば、コロナ拡大の住まい探しへの影響(首都圏)として、「世帯年収400万円未満」と「20代」の5割以上が「促進された」と回答。他の年収層や年齢層を大きく上回る結果になっています。
それを紐解くヒントになるのが、「コロナ禍における意識調査:20代の働き方と将来像」(有効回答数/1,163名(20~29歳の男女) 調査期間/2020年3月24日(火)~2020年7月15日(水)マイナビワークス)のアンケート結果です。
仕事の目的として「自分の生活のため」が84.5%あるのに対し「社会的な地位を得る」や「社会に貢献する」は、15%前後。現実的な回答が目立ちます。
また将来なりたい姿として「子供と囲まれて幸せに暮らしている」が52.7%、「お金持ちになっている」が33.2%となっています。バブルとは無縁で、むしろリーマンショックや東日本大震災など厳しい環境を経験しながら育った世代。住まいを買って早くから将来に備えることは、人生を乗り切るための解の一つなのかもしれません。
FPや専門家コラムを一冊の本に 森永氏の対談やブロガーのコラムも
20代で住まいを買うというのは、大きなチャレンジだと思いますが、早く住まいを持つことは、ライフプランを立てやすいメリットもあります。低金利でもあり一戸建ての価格は大きくは上昇していないですから種別にこだわらなければ選べる物件も豊富。価格がリーズナブルで、お買得感が最も高い中古戸建てが人気なのも頷けます。
とはいえ、住まいの購入には物件の選択だけでなく、住宅ローンや税制など様々な「知っておいた方が良い知識」があります。「知らなきゃ損する家とお金の話」は、月間100万人が訪れる「ARUHIマガジン」から厳選した「今、読むべき記事」に、岸 博幸さん、竹中平蔵さん、森永卓郎さんといった識者の最新インタビュー、人気ブロガーのらえもんさん、千日太郎さんの書き下ろしコラムを収録し、街選び・家選びとマネープランの新常識を解説した本です。
とかく、マンションや家の購入ノウハウ本は、筆者の個性や考え方が出てしまい情報が偏りがちですが、住宅ジャーナリストの山下和之さんやファイナンシャルプランナーの高田晶子さん、豊田真弓さん、有田美津子さんなど多彩な専門家のコラムが充実しています。
巻頭は、森永卓郎氏と森永康平氏という経済アナリストの親子対談。世代によって家の見方が異なっていておもしろい。さらに有識者インタビューとブロガーであるのらえもん氏、千日太郎氏のコラムが続きます。
章立ては、コロナ時代の住宅購入、ニューノーマルな家の選び方、コロナ禍の住宅ローン、家をお得に買う方法、住宅のリスクマネージメントの5つ。フラット35の仕組みや繰上げ返済の仕組みなど編集・著作が「ARUHIマガジン編集部」だけに、住宅ローン関連の情報がたくさん入っていてわかりやすい。中でも、48P目からの「コロナ禍の住宅ローン」の章は、借入可能額と借入適正額、住宅ローンの審査などかなりのボリュームを割いています。
巷には、「コロナ」を冠に部数を売らんが為の本が各ジャンルで見られますが、この本はバランスのとれたしっかりとした構成になっています。
『思い立ったら今日が吉日』という言葉があるように、住まいを買おうと思ったならばまさに2021年はチャンスの年です。
参考記事:筆者コラム 2021年こそ、マンションの「買い時であり」「売り時である」納得の理由(マネー現代)
しかし、『ピンチとチャンスは同じ顔でやってくる』と戦術本に書かれているように、選択の仕方によってはピンチに陥る可能性もあります。
そのために大切なのは、家を買う際の最低限の知識を身につけておくこと。その一歩として税込み935円は、安いと思います。ぜひチェックして下さい。
ARUHIマガジンムック本『コロナ時代にどう変わる? 知らなきゃ損する家とお金の話』