三井不動産株式会社が八重洲二丁目北地区市街地再開発組合の一員として推進している「八重洲二丁目北地区第一種市街地再開発事業」の街区名称を「東京ミッドタウン八重洲」と決定しました。同プロジェクトは2018年12月に着工し、2022年8月末の竣工を予定しています。リリースされたプロジェクトの詳細と建設中の現地を紹介します。
【東京ミッドタウン八重洲 概要】
街区名称:東京ミッドタウン八重洲
施行者:八重洲二丁目北地区市街地再開発組合
所在地:東京都中央区八重洲二丁目地内 他
用 途:(A-1街区) 事務所、店舗、ホテル、小学校、バスターミナル、駐車場 等
(A-2街区) 事務所、店舗、子育て支援施設、駐輪場、駐車場、住宅 等
区域面積:約1.5ha
敷地面積:(A-1街区) 12,390㎡(A-2街区) 1,043㎡(合計) 13,433㎡
延床面積:(A-1街区) 約283,900㎡(A-2街区) 約5,850㎡(合計) 約289,750㎡
階数/最高高さ:(A-1街区)地上45階 地下4階 ペントハウス2階/約240m
(A-2街区)地上7階 地下2階 ペントハウス1階/約41m
設計/施工:基本設計・実施設計・監理 : 株式会社日本設計
実施設計・施工 : 株式会社竹中工務店
マスターアーキテクト : Pickard Chilton
交 通:JR「東京」駅 地下直結(八重洲地下街経由)
東京メトロ丸の内線「東京」駅 地下直結(八重洲地下街経由)
東京メトロ銀座線「京橋」駅 徒歩3分
東京メトロ東西線、銀座線、都営浅草線「日本橋」駅 徒歩6分
スケジュール:2022年8月竣工(予定)
3棟目は、「日本の夢が集う街。世界の夢が育つ街」が施設コンセプト
■施設コンセプト:「ジャパン・プレゼンテーション・フィールド ~日本の夢が集う街。世界の夢に育つ街~」 (以下リリースより転載)
今般、本プロジェクトの街区名称を、港区赤坂の「東京ミッドタウン」、千代田区有楽町の「東京ミッドタウン日比谷」に続き3施設目となる「東京ミッドタウン八重洲」に決定しました。東京ミッドタウンとは、当社が総力を結集して開発する都心部におけるミクストユース型(複合用途型)街づくりのブランド名称です。「東京ミッドタウン」ブランドは、2007年の誕生以来、「『JAPAN VALUE』を世界に発信しつづける街」をビジョンに掲げ、「Diversity」「Hospitality」「Creativity」「Sustainability」の4つを共通の提供価値として街づくりを進めています。
また、東京ミッドタウン八重洲では施設コンセプトを「ジャパン・プレゼンテーション・フィールド ~日本の夢が集う街。世界の夢に育つ街~」と定めました。世界中・日本中から人や情報、モノ・コトが集まり、交わり、新しい価値を生み出し世界に向けて発信していく街づくりを目指します。施設コンセプトの実現に向けて、東京ミッドタウン八重洲ならではの街の提供価値として、「東京ミッドタウン」ブランド共通の提供価値に加えて、「Centrality(圧倒的な交通利便性を活かし、世界への出発点となる街)」「Open Mind (誰にでも開かれ、新たな成長や挑戦の機会があふれる街)」「Harmony(多様な人々が出会い、感性が重なり、新たな価値が生まれる街)」を設定します。(以上プレス向けリリースより抜粋)
ミクストユースな街づくりが「東京ミッドタウン八重洲」の特徴です。「東京ミッドタウン八重洲」は、東京駅前3地区(※)で進行中の再開発事業の皮切りとなる大規模再開発(敷地面積:1.3ha超、延床面積:280,000㎡超)。地下1階でJR「東京」駅と接続し、隣接する「八重洲二丁目中地区第一種市街地再開発事業」竣工後には、東京メトロ銀座線「京橋」駅まで直接アクセスが可能となります。
39階~45階(A-1街区)には、ブルガリ ホテルズ & リゾーツ日本初進出となる「ブルガリ ホテル 東京」が開業。ブルガリ ホテルズ & リゾーツは、これまで、ミラノ、ロンドン、バリなど世界6都市に展開しています。「ブルガリ ホテル東京」は10軒目の開業で、日本初進出となります。(2021年3月時点)7階~38階(A-1街区)のオフィスは、東京駅周辺で最大級の基準階専有面積約4,000㎡(約1,200坪)のフロアプレートを実現します。ビジネス交流施設・会議室(4階~5階(A-1街区))の整備に加えて、ワーカー向けのソフトサービスも充実させ、よりクリエイティブなビジネスライフを過ごせる環境をハード・ソフト両面で創出していく。
商業施設(地下1階~3階(A-1街区)、1階(A-2街区))は、就業者・来街者・国内外観光客の交流と賑わいを創出し、日本の玄関口という立地を活かした発信力のある施設を目指しています。隣接する八重洲地下街(ヤエチカ)と地下1階で接続し、八重洲二丁目中地区第一種市街地再開発事業の竣工後には、地下1階および2階の2層で接続します。
地下2階(A-1街区)に整備するバスターミナルは、東京駅前3地区の再開発事業が連携することにより、東京駅周辺の歩道上に分散している高速バス停留所を集約、国際空港や地方都市を結ぶ高速バスが発着する国内最大規模のバスターミナル(隣接する東地区・中地区と合わせ20バース)となります。
さらに、中央区立城東小学校や子育て支援施設(認定こども園)が設けられ、未来を担う子どもたちが成長してゆく場に。また、建物内に周辺エリアに対し「電気」と「熱」を供給するエネルギープラントを設置し、BCPの提供により防災対応力強化と環境負荷低減を実現します。
ポストコロナ新時代へ 多様な働き方改革を実現させる最先端オフィス誕生
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を受けて、本プロジェクトでは新型コロナウイルスの感染ルートである「接触感染」「エアロゾル感染」「飛沫感染」の3つの感染メカニズムに着目。効果的な施策に取り組んでいます。
接触感染対策としては、首都圏の大規模オフィス初となる「完全タッチレスオフィス」の導入を実施。ビルのエントランスからテナント執務室までの入館導線において、完全タッチレス化を実現いたします。顔認証によるオフィス入退館システムの導入、専有部入口の自動ドア化などにより、オフィスワーカーは一切接触行為を行うことなく、執務室への入室が可能に。また、ホログラムなどの非接触技術も館内に取り入れます。
エアロゾル感染対策 としては、換気機能の向上。オフィスビル執務室とエレベーターの空調機に抗菌高性能フィルターを設置します。これによりウイルスの捕集率が大幅に向上します。
飛沫感染対策としては、フィジカルディスタンスを確保します。商業施設内の混雑状況をリアルタイムで提示し、施設内の密を避けると同時に、どの店舗が空いているかなどを事前に知ることでオフィスワーカー等店舗利用者の利便性を向上します。
また、最先端テクノロジー活用の一環として、様々なロボットを活用。ビルメンテナンス業務の省人化に向けた「清掃ロボット」「案内ロボット」「運搬ロボット」に加え、オフィスワーカーのユーザビリティ向上に資するロボットとして「デリバリーロボット」を導入。さらにロボットが自立走行でエレベーターに乗降できる機能や館内でのロボット充電ステーションの設置など、ロボットフレンドリーなビルとしてハード・ソフト両面での取り組みを加速しています。
また、多様な働き方を実現させる最先端オフィスとしての提案も。人々の働き方の多様化を新たなステージへ進めるため、サテライトオフィス・在宅勤務の活用とともに、「交通至便な拠点型オフィス」の活用法を提案。
現在、日本全国 100 拠点以上、個室・会議室 1,500 室以上(うち個室 1,000 室以上)のサービスを展開しているワークスタイリングがオープン。コロナ禍においてニーズの高まる個室の室数・バリエーションを増やし、多様な用途に対応可能なカンファレンス・会議室を設けることで働き方のフレキシビリティを提供。さらに全国 100拠点以上のワークスタイリングを活用することで、可変性を持ったオフィスの拡張施設として、オフィスそのものに備えるべき機能・役割を、限られたスペースの中で最大化します。
さらに、テナント企業が利用できる専用の会議室やラウンジ・フィットネスジムを提供するなど、オフィス機能の補完だけでなく、暮らしに関する+αの提供をサポートします。
2022年8月が竣工予定で、東京駅周辺の景色も大きく変わりそうです。西口側の丸ノ内ビルディングの高さが地上37階建て約179m、新丸の内ビルディングの高さが地上38階建て約197mですから、39階~45階のホテルエリアからは、江戸城周辺も含めかなりの見晴らしになりそうです。
巨大化するグローバル企業 10年後の日本企業の行く末はどうか?
「八重洲」の地名は、江戸時代初期に日本に来航し、徳川家康の信任を得て、日本と世界を結ぶ朱印船貿易を推進したオランダ人航海者ヤン・ヨーステンに由来すると言われています(ブラタモリでもコメントがありました)。
かつて武家地だった、大手町や丸の内は街区が大きくスケールの大きなオフィスビルが既に建ち並んでいます。町人地だった八重洲や日本橋エリアは、集約化が進み丸の内や大手町同様に大きなオフィスが目立って増えてきました。
世界的に見ると、GAFAに代表される巨大企業が続々誕生し、マーケットの寡占化が進む中で大規模なオフィスのニーズは高まってきていますが、日本に目を向けると時価総額が1兆円を超えるような企業は、150社も満たない状況です。
三菱地所グループ(TOKYO TORCH)や東京建物(八重洲一丁目東地区)など「東京」駅周辺エリアのオフィスビルの開発は、今後も続きます。そのスペースが生きるのは、活かせる企業があってこそ。再開発の動向だけでなく、日本経済の動向にも注目する必要がありそうです。