三菱地所は、「三菱地所デジタルビジョン」を策定し、オフラインとオンラインが融合する新しい暮らしとまちづくりに取り組んでいる。その実現に向けた取り組みの一つとして、スマホアプリやスマートスピーカーを使い、住設機器・家電などの IoT 機器をまとめて操作・管理できる総合スマートホームサービス「HOMETACT(ホームタクト)」を開発、このたび発表した。
HOMETACTは集合住宅のエントランス解錠や玄関ドアの施解錠、居室内照明・空調・ロボット掃除機などの遠隔操作が可能なだけでなく、住空間に居ながらスマートスピーカーによる音声操作で複数メーカーの IoT 機器を横断的かつ一括制御でき、多様なライフスタイルやニーズに合わせた、新しい便利で快適な暮らしを提供する。
IoT 先進国のアメリカや中国などで導入の進むスマートホームだが、日本国内では浸透が進んでいない。その要因として、1メーカーごと機能やアプリが細分化されて使い勝手が悪いこと 2設置・設定が難しい上に、利用開始までのフローがユーザー任せになってしまっている 3アフターケアやトラブル時の緊急対応などエンドユーザーをサポートする機能が充実していないことなどが指摘されている。
HOMETACT は、総合デベロッパーである同社のノウハウを活かしながら、これらの市場課題を解決する、日本の住環境に導入しやすい総合スマートホームサービスとして提案していく。
【総合スマートホームサービス「HOMETACT」の特徴】
・特定のブランドやメーカーに依存しない、幅広い IoT 機器・住設機器の自由な連携を実現。 オリジナルアプリと音声でスマートロック(*アプリのみ)、エアコン・照明などの機器をまとめて操作・制御可能で、対応機器は今後さらに拡大予定。
・ サービス利用開始時の煩わしい初期設定作業は不要で、ログインだけですぐに利用開始。またWi-fi スピーカー、ロボット掃除機、照明などをユーザーが自由に持ち込み、連携させることが可能。
・設置・設定サービス・コールセンター・駆けつけサービス(予定)など、導入からアフターケアまで一貫したサポート体制を実現し、どの世代のユーザーも簡単・安心にスマートライフをスタートさせることが可能。
HOMETACT は、2021 年 11 月 5 日より入居開始予定の、三菱地所レジデンスの賃貸マンション「ザ・パークハビオ 麻布十番」への導入のほか、順次「ザ・パークハビオ」シリーズに導入予定であり、HOMETACT の標準仕様化や分譲マンションへの導入を目指している。また、三菱地所グループ内へのサービス提供を進めるだけでなく、将来的にはデベロッパーや賃貸管理会社といったビジネスユーザーへのシステム提供も視野に入れている。
見学会では、実際のデモンストレーションが行われたが、照明のライトアップやカーテンの開閉、玄関キーの施錠などもHOMETACTで自在に可能に。エアコンのスイッチや浴槽のお湯はりなどにも対応している。
14階の見学した48.75㎡の部屋で、賃料が33万4千円、管理費が1万5千円。全体平均の坪賃料は、おおよそ坪2万2千円とのことだ。部屋からの眺望は、素晴らしく現地案内会はスタートしたばかりだが、10件以上の申し込みが既にある。
時間に対する価値の捉え方が大きく変わる中、こうしたアプリケーションの開発でスマートホームが普及するかどうか注目していきたい。
【編集付記】
今回の見学会を体験して、日本でスマートホームが普及しない要因を考えてみた。日本人が器用だからとか、そもそもカーテンを開ける習慣がないとか、家が狭いとか挙げたらきりがないが、プライベートの重視度が低いことが挙げられるのではないだろうか。
筆者は、大学3年生の夏休みにアメリカ西海岸のサンノゼというベットタウンにホームステイしたのだが、夕食時などアメリカ人が家族の時間を非常に大切にするのを目の当たりにした。一方、社会人になってからの私は、モーレツサラリーマンの時代でもありほぼ毎日深夜帰り。スマートホームを普及する前に、プライベートへ対する意識から変えていかなければならない。Z世代と呼ばれる、今の若い人たちは仲間との関係や家族を重視する傾向にあるという。そう考えると、スマートホームが普及するのは意外と早いかもしれない。