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4階建てALL木造カーボンゼロ賃貸マンション「パークアクシス北千束 MOCXION」が竣工

「パークアクシス北千束 MOCXION」の外観 マンション探訪記
「パークアクシス北千束 MOCXION」の外観

三井不動産レジデンシャル株式会社と三井ホーム株式会社は、脱炭素社会の実現に向け、三井不動産グループ初となる4階建てALL木造カーボンゼロ賃貸マンション「パークアクシス北千束 MOCXION(以下、本物件)」が竣工したことを2023年8月末に発表しメディアに公開しました。

本物件は、人と地球環境にやさしい「木」を構造材に用いることにより、鉄筋コンクリート造と比較して建築時の CO2 排出量を約 50%に削減しました。また、再生可能エネルギーの一括受電とオール電化により、入居中の CO2 排出量を実質ゼロとして環境と共生するすまいを実現し、グループとしてカーボンニュートラルへの新たな取り組みを進めています。

「パークアクシス北千束 MOCXION」物件概要
所在地 東京都大田区北千束二丁目 14 番3(住居表示)
交通 東急大井町線「北千束」駅徒歩 4 分
東急池上線「長原」駅徒歩7分
東急目黒線「洗足」駅徒歩10分
用途地域 第一種中高層住居専用地域
構造・規模 木造(枠組壁工法) 地上 4 階建
敷地面積 731.47 ㎡
建築面積 509.56 ㎡
延床面積 1,666.01 ㎡
間取り 1DK~2LDK
専有面積 28.12 ㎡~54.95 ㎡
総戸数 33 戸
竣工日 2023 年 8 月 31 日(入居可能日 2023 年 9 月上旬以降)
事業主 三井不動産レジデンシャル株式会社
設計・施工 三井ホーム株式会社

「MOCXION」技術で ALL 木造の地球環境にやさしいマンション

「パークアクシス北千束 MOCXION」の特徴としてまず挙げられるのが、人と地球環境にやさしい「木」を全フロアの構造部材に活用したALL 木造マンションであること。三井ホームによる「MOCXION」の技術を採用し、1 階から 4 階の全フロアの構造部材で木を使用しています。木造は RC 造に比べて製造時や加工時、建物建設時に必要とされるエネルギーが少ないため、CO2 排出量を約 50%削減することが可能。また、「木」の熱伝導率はコンクリートの 1/10、鉄の 1/350 と、熱を伝えにくい特性があることに加え、三井ホーム独自の高断熱・高気密の技術を最大限活かすことで、冷暖房の消費を大幅に抑えることが可能に。省エネルギー性能が向上しています。

「パークアクシス北千束 MOCXION」のエントランスアプローチ

「パークアクシス北千束 MOCXION」のエントランスアプローチ

また、三井不動産グループ保有林から採取した木材を内壁面に使用。建築資材の自給自足、持続可能な森林経営や地域経済にも貢献します。完成したマンションを訪ねると共用ラウンジの壁面に三井不動産グループ保有林から採取した木材が使用されており「木」ならではの安らぎを実感します。三井不動産グループでは北海道の道北地方を中心に約 5,000ha の森林を保有・管理。木造賃貸ビルや木造住宅などの主要部材、各施設の仕上げ材などに積極的に活用し、森林資源と地域経済の持続可能な好循環に取り組んでいます。

「パークアクシス北千束 MOCXION」のダブルシードパネルのプレゼンテーション

「パークアクシス北千束 MOCXION」のダブルシードパネルのプレゼンテーション

また、ダブルシールドパネルにより建物全体の断熱性が向上しています。三井ホームでは、主軸事業である注文戸建住宅の建築において標準的に、屋根断熱構造材であるダブルシールドパネルを採用。その独自技術を本物件の屋根に採用することにより、母屋や小屋束から構成される従来の木造建築の小屋組とは異なり、邪魔なものが存在しない広い空間を実現。小屋裏空間を有効利用したロフトを 4 階の一部住戸に実現しています。屋根構造体自体が優れた断熱性能を発揮し、室内へ外気温の影響を抑えています。これにより、物件全体の断熱性を向上させることに加え、屋根の温度変化の影響が大きいロフト空間でも快適性を保っています。

「パークアクシス北千束 MOCXION」の

「パークアクシス北千束 MOCXION」の

マンションの外観や共用部には、「木」を身近に感じさせるデザインと設えが。木目のバルコニースラブと縦ルーバーを外観デザインの軸として、「木」を強調するデザインで統一。1 階のエントランスから建物内部のアプローチ、ラウンジ、廊下等に木目調デザインを配置し、外から中への連続性を強調しています。

「パークアクシス北千束 MOCXION」の共用ラウンジ

「パークアクシス北千束 MOCXION」の共用ラウンジ

共用ラウンジの壁面にはアートを設置。国産広葉樹を用いた作品を採用し、既存の木材流通ではチップや燃料となる広葉樹をアートとして再生させることで、「木」をより身近に感じていただけるように。さらに 1 階の風除室からエントランスホール、共用部ラウンジの天井には、天然木である赤樺の仕上に。天然木ならではの自然な色合いや色の変化が楽しめる空間を演出しています。

「パークアクシス北千束 MOCXION」の共用廊下(内廊下)

「パークアクシス北千束 MOCXION」の共用廊下(内廊下)

宅配ボックス扉には、木製エコ素材の両面化粧パーティクルボードを使用した「グリーンハイブリッドボックス」を採用。本体のパーティクルボードが、木質廃材を破砕して活用している環境保全型のエコ素材。また、表面に使用している低圧メラミン化粧層は、耐熱・耐汚染・耐摩耗性に優れています。

再生可能エネルギーの一括受電等とCO2 排出量実質ゼロと創エネ実現

再生可能エネルギーの一括受電×オール電化により、CO2 排出量実質ゼロを実現していることも本物件の特徴。非化石証書付きの再生可能エネルギーを一括受電。あわせて、オール電化にすることにより、入居中に建物から排出される CO2 排出量が実質ゼロとなります。また、給湯設備にはエコキュートを採用。エコキュートは大気熱を利用してお湯を沸かすため、電力使用量が抑えられ、環境にやさしいだけでなく、災害時はタンク内の水を生活用水にも利用することができます。

「パークアクシス北千束 MOCXION」の太陽光パネル

「パークアクシス北千束 MOCXION」の太陽光パネル

また、「太陽光パネル」を屋上に設置しオンサイトで創エネを実現。屋上には 54 枚、総面積 139.32 ㎡の「太陽光パネル」を設置し、共用部の想定使用電力量を上回る電気を創出します。また、電力供給がストップした時には、太陽光パネルで発電した電気を入居者に無償で利用できるよう、共用ラウンジに非常用コンセントを設置。緊急時も、携帯電話の充電等に電力が利用できます。

「LEED®認証」等各種認証取得+優良木造建築物等整備推進事業など採択

国際的環境認証「LEED®認証」のゴールドランク予備認証を国内の賃貸マンションで初めて取得するなどの環境へのお墨付きがあるのも本物件の特徴。「環境負荷の低い『木』の構造材採用」、「再生可能エネルギーの一括受電」、「オンサイト太陽光の有効活用」等の環境に配慮した多様な取り組みを行っていることから、国際的な環境認証の「LEED®-BD+C NC(新築部門)」のゴールドランクの予備認証を国内の賃貸マンションで初めて取得しています。

また、BELS に基づく評価「ZEH-M Ready」を取得。断熱性能の高い「木」を構造材に使用するとともに、LOW-E 複層ガラスや LED 照明の採用等による省エネ性能の向上、オンサイト太陽光の活用により、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)に基づく評価「ZEH-M Ready」という高い評価を取得しています。

また、国土交通省「優良木造建築物等整備推進事業」にも採択されています。国土交通省がカーボンニュートラルの実現に向け、炭素貯蔵効果が期待できる、木造の中高層住宅・非住宅建築物について、優良なプロジェクトに対して支援を行う制度。2022 年度の「優良木造建築物等整備推進事業」に本物件は、採択されています。

「パークアクシス北千束 MOCXION」の各種認証のプレゼンテーション「パークアクシス北千束 MOCXION」の各種認証のプレゼンテーション

「パークアクシス北千束 MOCXION」の各種認証のプレゼンテーション

近年、脱炭素に向けて「ZEH-M (ゼッチマンション)」が分譲マーケットでも普及しつつありますが、「ZEH-M Ready」水準のマンションは限られます。分譲・賃貸トータルで見てもかなり環境性能の高いマンションといえるでしょう。

木造マンションのこれからの普及を実感 本物件は、耐用年数47年で償却

木造マンションといっても見た目は、鉄筋コンクリート造のマンションと大きな違いはありません。しかし、実際のマンションを見学すると木の温かみなど木造マンションならではの良さを実感できます。

建物は、4階建てですがこれは高さ規制だけでなく防火基準などもあってのことのようです。また、強度と遮音性を確保するために床の厚みがあるのも鉄筋コンクリート造との違い。オリジナルの高遮音床によって、「LL-45」の遮音等級を実現しています。また、室内空間は壁式構造のためすっきりしていて凹凸が少ない。間取りは、10坪前後の1LDKが中心ですが、暮らしやすそうに感じました。

募集賃料は、おおよそ坪1万7千円前後。周辺エリアに築浅の事例が少ないとのことですが、通常の相場よりも若干高めの設定とのことです。共益費あわせて1LDKタイプが16万円台中心。物件公開から2週間程度ですが既に3件の申込みがあるようです。都心アクセスも良好な北千束駅徒歩4分の落ち着いた住環境。認知が広がれば、注目を集めるのではないでしょうか。

今回は、三井不動産レジデンシャル初となるオール木造の賃貸マンションですが、注目すべき点として鉄筋コンクリート造と同様に、耐用年数が47年にできるとのこと。木造でもできるというわけではなく、今回の企画であればということのようですが長期の耐用年数が税法上可能であれば不動産ファンドなどでも活用しやすい。今後オール木造の賃貸マンションの普及が加速するかもしれません。

筆者は、過去にMOCXIONシリーズの稲城や四ツ谷三丁目を見学しましたが、どちらも入居者からの評価が高く好調とのこと。若い層を中心に環境意識も高まっており耐久性の高い木造の集合住宅は、今後普及していくのではないでしょうか。

関連サイト 「パークアクシス北千束 MOCXION」公式HP