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2024年グッドデザイン賞「パークタワー勝どきミッド/サウス」「ザ・パークハウスグラン 神山町」など受賞

パークタワー勝どきの外観 ニュース&トピックス
パークタワー勝どきの外観

公益財団法人日本デザイン振興会主催する「2024年のグッドデザイン賞」が発表になりました。総合的なデザインの推奨制度として、50年以上にわたり「よいデザイン」を顕彰しています。企業ごとに、2024年の主な受賞作を紹介します。

 

三菱地所グループ

茶室「ベネチ庵/アラビ庵」、集合住宅「ザ・パークハウス グラン 神山町」、集合住宅「ザ・パークハウス 南麻布」高層オフィスビル「田町タワー」など、合計6件受賞

〈受賞プロジェクト概要〉「ザ・パークハウス グラン 神山町」

「ザ・パークハウス グラン 神山町」の外観

「ザ・パークハウス グラン 神山町」の外観

神山町は閑静な住宅街であり、多くの建物はプライバシーやセキュリティを重視し、閉ざされた印象の建築になっている。本件は、圧迫感を与えないよう、スケール感を隠し”建物を小さく見せる”ことを心がけ、街並みと同調するのではなくバランスによる調和を目指した。建物外観は、明るい木調の縦格子を暗色の建物外周に廻し、色と透かしの効果で建物を小さく見せ、圧迫感と閉塞感を低減。エントランスアプローチは、光柱の逆光効果とカーブ動線で室内への視線を遮り、居住者のプライバシーを確保しつつ、街に対して開放的な印象の建物とした。建物の灯りで夜の道を淡く照らし、空との一体感を意識して建物上部と空の境界が溶け合うようなデザインとした。周辺建物と相対する要素を取り入れ、デザインによる均衡を追求した。

<審査員評価コメント>

ボリュームや形態の操作、表層デザイン、照明効果などにより、規模の大きな分譲集合住宅ながら、ゆとりある親しげな存在感とでもいおうか、周辺に対して拒絶的でない雰囲気を実現している。緩やかな曲面をえがくアプローチは開放的ながら露出しすぎず、むしろ奥への距離感を感じさせる点で、コンセプトに合致した形態である。地域のコンテクストへの深い理解が下敷きになっていることも特筆すべきことである。

 

三井不動産グループ
「 パークタワー勝どきミッド/サウス」、「 パークホームズ西池 袋」 、「 パークホームズ吉祥寺北 ザ ガーデン」、「SOCO HAUS KORAKUEN」、「パークアクシス新宿百人町」、「すまいとくらしから循環型社会を実現『くらしのサス活 Circular Action』」の 6 プロジェクトが受賞。

パークタワー勝どきミッド サウス

パークタワー勝どきミッド サウス(出典:三井不動産 リリース)

〈受賞プロジェクト概要〉「パークタワー勝どきミッド/サウス」
都心・銀座に近い東京湾岸エリアで、新しい価値を生むミクストユース型の大規模な商住オフィス複合再開発事業。海や川に面した世界の主要都市のように、都心にあるエクスクルーシブなマリーナをイメージした全体のコンセプトから「 GRAND MARINA TOKYO」と名付けられたこの場所にふさわしいデザインを敷地全体で実践。

<デザインのポイント>
1.海辺に船が停泊する様なウォーターフロントならではの風景を作り出す「Sailing Towers」。
2.噴水水景とリズミカルなステップのあるセントラルラグーンが中心にあり地域に開かれた憩いの場を創出。
3.街への新しい入口として、駅出入口は船形状の曲線、対岸に繋がる人道橋は柔らかい波の動きで人を迎え入れるデザイン。
<審査員評価コメント>
東京湾岸エリア、勝どき駅から徒歩1〜2分、隣接する 2 つの敷地に集合住宅(2,786 戸)、商業空間、公開された庭、合計約 23,700 ㎡の壮大な開発である。湾岸の人通りの少ない倉庫群地域だったからこそ、この大規模計画が公開された庭や商業空間を起点に周辺の人々の居場所となる優れた計画である。湾岸エリアは高層の建築が建ち並び、全体として風景を創り出しているが、高層にすることで公開できる空地の面積は広がる。その空地の計画がとても重要であり、ヒューマンスケールな親水空間広場などのランドスケープの計画が大変秀逸である。

 

野村不動産グループ

1. 「森を、つなぐ」東京プロジェクト 2. プラウドシティ豊田多摩平の森 3. プラウド阪急塚口駅前・ソコラ塚口クロス 4. シビックプライドを醸成する取組 「街の推し応援活動」の4プロジェクトが受賞

<受賞プロジェクト概要> プラウドシティ豊田多摩平の森(中〜大規模集合・共同住宅)

プラウドシティ豊田多摩平の森

プラウドシティ豊田多摩平の森

本件は歴史ある緑を残した敷地を公開することで、地域全体の価値創造に取り組んだ多棟配棟の分譲マンションである。かつて宮内省の御料林があり、現在も緑と共に生きる街づくりが行われる日野市多摩平地区において、一団地認定を活用し、約 50 本の既存樹を保全しながら 3 万㎡の敷地の大半を地域に公開、街の「緑のネットワーク」の一部とした。

<審査員評価コメント>
本集合住宅では、樹木を保存し、住棟を分節して敷地境界側に寄せることで、中央に森のような緑地帯を確保している。敷地を通り抜ける「緑の回廊」は、地域の憩いの場として多くの人々に親しまれる場になるであろうことが想像できる。 国産木材で作られた共用棟も、コミュニティの形成に寄与するものとして機能することを期待したい。 地域に根ざした風景の歴史的価値を理解し、未来に繋げていくことは、地域全体の価値を高めることにつながる。植栽の維持管理を含め、長期的に持続していくための仕組みづくりにも積極的に関わり、豊かな自然環境がより良い形で未来に継承されていくことを期待している。

 

東京建物

MEIJIPARK(都立明治公園)と分譲マンション「Brillia 京都鞍馬口」が受賞

<受賞プロジェクト概要>「Brillia 京都鞍馬口」

Brillia 京都鞍馬口の外観

Brillia 京都鞍馬口の外観

古くは西陣織の生産地として栄え、現在は寺院が集積する「寺之内」エリアに位置しており、至近には表千家不審菴や裏千家今日庵といった茶室が立ち並びます。外観デザイン等の工夫により、本エリアに色濃く残る京都の歴史・文化を継承するとともに、角地を生かした緑地空間を提供するなど新たな景観の形成を実現。

<審査員評価コメント>

町屋などが残る京都の街並みと現代建築がどのように調和を図ることができるのか、これは永遠の課題かもしれない。この集合住宅は、こうした課題に対してこれまで試みられてきた幾多のデザインの中でも秀逸な答えを示してくれている。隣接する町屋と軒線を合わせ、その軒をそのまま素直に積層させている。瓦で葺くといった表層的な繕いをすることなく、そのシンプルな形態的連鎖が、意表をつくほどに自然な佇まいとなっている。抑制されたデザインやディテールだけでもこれだけのことができる、その好例である。

 

東急不動産

GREEN AGENDA for BRANZ』が2024年度グッドデザイン・ベスト100を受賞。『コンフォリア東新宿』『東急プラザ原宿「ハラカド」』『Forestgate Daikanyama』が2024年度グッドデザイン賞。

<受賞プロジェクト概要> 『GREEN AGENDA for BRANZ』 <グッドデザイン・ベスト 100 選定>(カテゴリー:13-03 中〜⼤規模集合住宅関連のサービス、システム/HEMS)

概念図

概念図

GREEN AGENDA とは、分譲マンションにおいて都市の生物多様性保全に貢献する全く新しい憬観管理計画である。生物多様性の基盤となる植栽について竣工後 10 年間の管理計画を策定すると同時に、生物多様性推進への Key となる住⺠に対しても⻑期的に共感を育む取り組みを⾏い、街の人々から憧憬されるような景観を作っていく。
公式 HP:https://sumai.tokyu-land.co.jp/concept/greenagenda/top/

〈審査員評価コメント〉
集合住宅において緑化は、地球環境への負荷低減、景観的価値や居住空間の快適性の向上など、様々な観点で重要な取り組みだ。しかし、管理は業者任せというのが⼀般的だろう。それをあえて住⺠が当事者となって関わる仕組みをデザインし、ガイドブックとして纏めたことの価値は計り知れない。もちろん、維持管理が容易になる側⾯もあるが、住⺠が⾃ら生き物の⼿⼊れをすることは、環境への意識向上や、⾃らの住環境への愛着などを育む上でも⼤きく貢献するに違いない。このような取り組みが広まれば、都市の風景も、また人々のふるまいも⼤きく変わってくるだろう。もっと広く社会に浸透していくことを期待したい。

 

大京

分譲集合住宅「リジェ南山」と「コンパクトマンション向け可動テーブル一体型キッチン」が受賞

<受賞プロジェクト概要>「リジェ南山」

「リジェ南山」外観

「リジェ南山」外観

「リジェ南山」は、名古屋を代表する自然豊かな高級住宅地「南山」に位置する分譲マンションです。敷地面積に対し、緑地率30%以上を確保しており、四季折々の美しい自然が楽しめる庭園や小道が建物を囲むように配置されています。居住者の方は、住戸や屋上テラス、ラウンジなどから、季節ごとに変わる木々の美しさをお楽しみいただけます。本受賞では、豊かな植栽計画と周囲に開かれた配置計画により、地域の原風景を大切にした開発として評価されました。

「コンパクトマンション向け可動テーブル一体型キッチン」は、キッチンに可動式のテーブルを備え付けることで、キッチンを中心に暮らしの幅が広がる空間を提案した商品です。1DKや1LDKなどの間取りで生じやすい、キッチンの調理スペースが手狭になる、ダイニングテーブル、デスク、ソファなどのすべての家具を置くと空間にゆとりがなくなるなどの問題を解決するとともに、在宅勤務の定着により、自宅での食事機会やデスクワークの増加など、ライフスタイルの多様化に対応します。また、キッチンとテーブルの面材を合わせることで、キッチンとリビングダイニングの一体感を作り、デザイン性と実用性を兼ね備えています。本受賞では、従来の役割を超えた、キッチンを核とした効率的な空間提案として評価されました。

 

日鉄興和不動産

新築分譲マンション「グランリビオ浜田山」(総戸数84戸、東京都杉並区 東京建物、安田不動産との共同事業)が受賞

<受賞プロジェクト概要>「グランリビオ浜田山」

グランリビオ浜田山

グランリビオ浜田山

現在の居住者のみではなく「次世代に受け継がれる住まい」として、従前緑地・周辺環境を後世に継承する「生物多様性」をテーマに、緑地を中心に考えるマンションを企画。既存樹木活用・生物多様性調査に基づく樹種選定・中庭から始まるコミュニティ形成・中庭から眺めたデザイン等、「後世に引き継ぐ緑地」に相応しい住まいを実現。従前建物である企業寮は緑地に溢れており、古くから地域住民や動物にも愛されていた自然環境が広がっていました。また、本立地は半径1km圏内に全長約4.2kmに及ぶ善福寺川緑地の連なりや柏の宮公園など周辺の緑にも恵まれた立地であり、周辺の緑地環境の中継地として貢献してきました。 しかし、寮の閉鎖後、人の出入りがない状態で緑地は荒れ果て、地域住民からも防犯懸念が生じていました。本事業では、従前より人・動物と親しまれた緑の景観・既存樹木を残しつつ、さらなる周辺との調和が取れるように周辺半径2km圏内の自然植生や生物を誘引できる樹種の調査をする「生物多様性ポテンシャル調査」に基づいた緑地計画を実行し、人・植物・動物の自然界のあらゆるものが本物件の緑地の中心となり、従前の役割を継承するとともに、周辺と調和し、持続する緑地として新たに出会い交わり共存することをコンセプトとしました。

〈審査員評価コメント〉

東京都杉並区浜田山、環境の良い住宅地に5000㎡程ある広大な敷地である。以前建っていた建築は社員寮で緑地面積が広く、周辺住宅に対しても環境の良い場所を提供していたことから、分譲集合住宅として建て替える際も緑地面積を十分に確保し、既存樹木である8.6m高のヤマボウシ・ヤマモモの保全を行い、生物多様性調査に基づいた在来種率90%以上の植栽計画・既存樹木の継承は大変優れた計画である。今後も定期的なメンテナンスを行い、住人や周辺に対して良好な環境を提供していくことが期待されるところである。

 

日本エスコン

分譲レジデンス「SEVENS VILLA 軽井沢」、賃貸レジデンス「TOPAZ 江坂」が受賞

<受賞プロジェクト概要>「SEVENS VILLA 軽井沢」

SEVENS VILLA 軽井沢の外観とリビング

SEVENS VILLA 軽井沢の外観とリビング

物件は、軽井沢の奥座敷と呼ばれ、静寂と深い緑に包まれた南ヶ丘エリアにおいて、約半世紀に亘って親会社である中部電力株式会社の保養地であった 5,000 ㎡超の敷地に、中電不動産が共同で手掛けた全 7 邸の分譲レジデンス。両社は、長い歳月をかけて軽井沢南ヶ丘の自然が創り出した景観と、共存する住まいの新しいあり方を目指し、伝統的な日本建築の思想を先進の技術で昇華した今までにない軽井沢の別荘を追求。物件のコンセプトは、庭と建物が一体となり調和するさまを表す日本の伝統的な考え方「庭屋一如(ていおくいちにょ)」を取り入れ、広大な敷地内にある豊かな緑を最大限に活かし、全邸・街区共に自然と一体化する佇まいとなることを目指した「苑屋一如(えんおくいちにょ)」。配棟計画では、5,000 ㎡超の敷地に 7 邸とあえてゆとりのある計画とし、その豊かな敷地を活用することで、全邸に 100 ㎡超の専用庭やテラスを設け、プライベート空間の中で 100 年を経た森の景観を味わうことができるなど集合住宅でありながら戸建別荘のようなライフスタイルを実現。また、各邸それぞれの外観に個性を持たせながらも、屋根付きのガレージでつながりを持たせ街区の一体感を創出することで、ひとつの絵画のような景観を創出するデザインを採用。

自然と共存する住まいを追求し、軽井沢南ヶ丘の豊かな樹々と自然を大切に、本計画地内の既存の樹木を可能な限り残しながら、この地の風景に寄り添うような開発を実現。専有部内でも随所にそのコンセプトを叶える工夫を施しました。全邸に切妻屋根の特性を活かした大胆な吹抜けを設け、テラスや庭に面する開口部では高さ 2.4m の大開口サッシを採用。また、屋内にいても軽井沢の木漏れ日を感じられる造りとし、リビングには薪ストーブの設置にも対応できるよう煙突を実装することで、軽井沢の冬も心ゆくまで愉しめる仕様に。

<審査委員評価コメント>

広大な敷地内に、戸建てに近い 7 戸の集合住宅が建つ、稀有なプロジェクトである。既存樹木を可能な限り残し、専用庭や専用テラスを設け、豊かな自然環境に溶け込むような住空間を作り出した点を高く評価した。 ゲーテッドコミュニティであることについては賛否が分かれるが、ゲート自体は木々の風景に調和するようにデザインされており、景観に対する配慮が感じられる。 中央に配置された駐車場部分がやや殺風景で、ヴィラズコリドーと各住戸が分断されているように見える点がいささか残念ではあるが、敷地条件を生かした豊かで良質な住宅群が実現できている

 

伊藤忠都市開発

分譲マンション「クレヴィア新御徒町」が受賞

<受賞プロジェクト概要>「クレヴィア新御徒町」

クレヴィア新御徒町の特徴

クレヴィア新御徒町の特徴

近年、狭小化が進む都心マンションにおいて、天井の高さを活かした立体的なアプローチを行うことで、住戸の開放感・快適性といった物理的な居住性向上に加えて、縦の空間を有効活用し、自分らしくアレンジできる余白を創出。都心の限られた床面積の中で居住空間の自由度を向上させるため、高さに着目し、面積以上に部屋全体の広がりを感じられるクリエイティブで自由な居住空間を提案。

<デザインのポイント>
14 階建にすることにより、全階層で約 3.2mの階高を確保。一般的なリビング・ダイニングの天井高が約 2.4m の中、全住戸 2.7m 以上とし、約 12.5%の空間量アップを実現。約 2.2m のサッシ高やワイドスパンと組み合わせることで、明るく開放的な住空間を創出。高さを活かした高効率収納や床下収納、メゾネットプランを用意し、機能性を高めつつ、ライフスタイルによる選択肢も増やした。共用部には二層吹抜けのエントランスホールやリモートワークに対応したブースを設けるなど「高さや自由度」をテーマにした設計に。

<審査委員評価コメント>
高層の集合住宅は、事業性や構造計画、設備計画などに高いハードルがあるため、とかく画一的な住戸構成に陥りやすい。しかしこの作品は、あえて1層減らすことで高い階高を確保し、従来の事業性に新たな評価軸を導入した点で、極めて野心的である。さらに様々な規模の住戸、メゾネット住戸なども組み込み、多様性と快適性を高い次元で実現している。街は本来、多様な人々の多彩な暮らしが展開して初めて魅力的なものになる。その意味で、こうした高層集合住宅が丁寧に作られていくことは、大いに歓迎したい。

 

モリモト

「ディアナコート祐天寺レジデンス」「ピアース用>賀テラス」が受賞

<受賞プロジェクト概要>「ディアナコート祐天寺レジデンス」

「ディアナコート祐天寺レジデンス」の外観

「ディアナコート祐天寺レジデンス」の外観

計画地は祐天寺と駅の丁度中間に位置し、駅近の都会的な生活を享受でき、且つ、祐天寺の緑あふれた穏やかな雰囲気もシークエンスとして取り込まれている立地。本計画はハイセンスな住宅地として高いポテンシャルを持つ祐天寺を体現するように、落ち着きと爽やかさを兼ね備えた邸宅のデザインを目指した。

<審査委員評価コメント>

大通りに面した角地に建つ集合住宅で、ロートアイアンで作られた曲線状の手摺が目を惹く集合住宅である。そのデザインは、住戸からの見え方だけでなく、大通りを走る車窓からの見え方にも配慮されており、非常に丁寧な検討と検証がなされている点を高く評価したい。近隣建物との関係についても丁寧に読み解きながらデザインされており、好感が持てる。加えて、大通りに対して住戸を正対させずに雁行プランとしたことで、街並みに奥行き感を生み出し、風景に陰影を与えている。良質な街並みの形成に寄与する建築である。

 

住友不動産

戸建住宅 「プレミアム.J 立川」 と 共同住宅 「南麻布レジデンス」が受賞

<受賞プロジェクト概要>「南麻布レジデンス」

南麻布レジデンスの特徴

南麻布レジデンスの特徴

都心生活のバルコニーを進化させるため、交通量や人通りの多い前面道路に対して先端にガラススクリーンを設置し、「ファサードデザインの保全」、「住む人と地域の人の互いの視線の制御」、「半屋内空間として利用できる中間領域」を提案。バルコニーの先端にガラススクリーンを配置することで、住宅ごとに設置した異なるカーテン等の内部要素に影響されることなく統一感のある外観ファサードデザインとなり、住む人が変わっても外観ファサードデザインの印象は変わらないという、地域景観の保全に繋げることが可能となる。

<審査委員評価コメント>

広尾駅から徒歩1分程、中高層のビル群が建ち並ぶ敷地である。沿道の歩道は10mを超える木々を保存している心地よい前面道路となっていることを活かし、地上11階建の集合住宅のファサードとしてガラススクリーンを採用し、バルコニーを半外部空間として、内部空間の拡張性を創出した優れた計画である。外観としても、バルコニーのガラススクリーンが手すりの圧迫感を弱め、高層建築でありながら良好な景観を周辺環境にもたらしている。

 

コスモスイニシア

イニシア芦屋レジデンス (分譲集合住宅)、 コスモグラシア蔵前テラス(賃貸集合住宅)、 古材を活用した買取再販リノベーションマンションが受賞。

<受賞プロジェクト概要>「イニシア芦屋レジデンス」

イニシア芦屋レジデンスの内部と外観

イニシア芦屋レジデンスの内部と外観

エントランスから奥庭までの動線上の共有空間を「シェアリング・パス」と名付け、日常の動線上に、居住者同士が共有 (シェア) できるさまざまな居場所を設け、シェアをきっかけとした豊かなライフスタイルを提案。非常時の協力や高齢単身世帯の孤独死、共働きや母子家庭の子育て等、人が集まって暮らす事で解決する社会問題が多々存在している現代社会。あらゆる資産を共有する「シェア」の思考により、人と人の繋がりを取り戻し、愛着のある持続可能な暮らしの実現を目指す。また、地域資源である淡路瓦をファサードや内部空間に採用し、地域性を感じる表情豊かな空間を実現している。

〈審査委員評価コメント〉
集合住宅は共用部を有しているにもかかわらず、住民同士のつながりや共有意識は生まれにくい。この課題を解決すべく「シェア」の思想により室内外の動線上に多様な居場所を設けたことが特徴である。また、台形状をした淡路瓦の透かし積みによるファサードが特徴的で、ディテールが美しい。地域の素材を積極的に採用し、デザインにつなげている点も高く評価できる。「シェア」機能が実際にどのように使われ、どのような効果を生み出しているのか、大変興味深い。継続的な観察を行い、つながりをもつ豊かな暮らしが実現できる集合住宅の発展に繋げてほしい。

 

近鉄不動産

ローレルコート上本町五丁目で受賞。

<受賞プロジェクト概要>「ローレルコート上本町五丁目」

ローレルコート上本町五丁目の外観

ローレルコート上本町五丁目の外観

ローレルコート上本町五丁目は、定期借地権方式の分譲マンション。定期借地権付き分譲マンションでは一般的に、将来的な解体の負担やメンテナンス意識の低下などが懸念される。そのため、本物件では外装を高耐久の石調吹付外装材やガラス・アルミ等の素材で構成することにより、長期間の安全性の確保とメンテナンス費用の軽減を図っている。また、借地期間満了時に現状有姿で事業主へ返還することで、解体費の負担を回避。その後も建物を継続活用することで環境負荷を低減する。幹線道路に面した視認性の高い西面は高機能エコガラスのカーテンウォールとし、室内側には電動ブラインドを設置。街並景観に対するデザイン性と居住性を両立させた。

〈審査員評価コメント〉
集合住宅を供給する仕組みには、様々な形態がある。定期借地による事業化も、その一つとして最近は数多くみられるようになった。しかしこの仕組みには、建築が長期にわたって残っていくという点では、危うい面もある。この仕組みの弱点を、建築のデザインの側から問い直そうとしているところにこの計画のユニークさがある。建築の長寿命化や使い方の柔軟性という、言わば従来の「商品」としての価値とは全く異なる次元でデザインを行い、その新たな価値提供によって社会資本として残していこうという戦略は、実現性という観点では読めないところもあるが、とても意義ある社会へのメッセージとなっている。

 

阪急阪神不動産

「ジオ四天王寺一丁目」が受賞。

<受賞プロジェクト概要> 「ジオ四天王寺一丁目」

ジオ四天王寺一丁目の外観

ジオ四天王寺一丁目の外観

四天王寺参道に面した事務所ビル老朽化に伴う建替事業。「まちの歴史や暮らしに寄り添う建築」について地権者様と共に議論を重ねて計画。古くからある通り抜け路地の再生、参道における営みに呼応する配置構成、街並みに調和するデザイン等によりこの地の歴史を尊重する集合住宅を目指した。

〈審査員の評価ポイント〉
まちの「歴史」や「暮らし・営み」に寄り添う、というコンセプトから、四天王寺への参道や路地に着目し、敷地内に誰もが通り抜けできる路地を設けた点は、高く評価できる。 参道や路地への「はみだし」は、街に賑わいをもたらし、人と人、建物と街のつながりを生みだす。このことに着目した点は評価できるが、実際に「はみだし」を実現するためには、さらなる空間的工夫が必要である。例えば、オーナーズラウンジを路地に面して配置し、開けるようにする、接道部を花壇で閉じるのではなく、人々が集える空間にする、などの工夫ができたのではないか。コンセプトが実際の空間デザインとして実現されることを期待している。

 

編集付記:2024年のマンションの受賞作を見ると、共用部のつくり込みや居住性の確保、自然との共生など年を経ても居心地の良い暮らしが叶えられる様々な工夫がみられます。サスティナブルな企画力の高さは過去のグッドデザイン賞の受賞マンションでも。こうしたプロジェクトは、リセールバリューが高いケースも。グッドデザイン賞の受賞歴もマンション選びのモノサシとしても考えてみてはいかがでしょうか。