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渋谷コーポラス マンション建替事業 マンション建替組合設立 旭化成不動産レジデンスが参画

「渋谷コーポラス」の地図 ニュース&トピックス
「渋谷コーポラス」の地図

旭化成不動産レジデンスは、東京都渋谷区桜丘にて渋谷コーポラスマンション管理組合の皆様とともに進めている渋谷コーポラスマンション建替事業について、渋谷区からマンション建替円滑化法による設立認可を受け、11 月 25 日に渋谷コーポラスマンション建替組合を設立したことを発表した。

「渋谷コーポラス」の外観

「渋谷コーポラス」の外観

渋谷コーポラスは、日本初の民間分譲マンション「四谷コーポラス(1956 年竣工)」を手掛けた日本信販によるコーポラスシリーズのひとつで、1968 年に竣工した。建物は 2023 年現在で築 55 年を迎えており、建築基準法改正により現在の耐震基準が設定された 1981年以前に設計された「旧耐震建物」。竣工時の図面等書類を保管できておらず、仮に耐震改修工事を実施する場合には、まず当時の竣工図面の復元が必要となるため、多額の費用と手間を要する状況だった。また、築年数の経過に伴い、特に給排水管の劣化が著しく進行しており、水漏れが頻発するなど新たなトラブルを引き起こしていたことに加えて、建物の床や壁の性能、階高等の構造部分をはじめとして、諸設備も現在の建物に要求される標準的な水準を満たすことができない社会的老朽化も進んでいた。

2018 年より本建物の再生検討に関する説明会を重ね、建物を維持した場合の費用負担と建て替えた場合の費用負担を比較検討し、建物の大規模修繕や改修ではなく、建替えをすることが最善であるとの結論に達し、2023年 3 月の建替決議成立に至った。

本建物は、渋谷駅至近に位置することから、分譲時から住宅として居住されている方の他に、事務所としての利用や住戸の賃貸化も進み、区分所有者ごとの再建建物におけるニーズはさまざまだった。
また、分譲初期のマンションであったことから、管理規約の見直しの必要性や、公図と現況の敷地形状の差異の確認、登記の所有権割合が一致していないなど、建物再生を進めていくうえで解決しなければならない課題も多かった模様。

旭化成レジデンスは、直接各方面の専門家や行政との確認作業を重ねて、課題を丁寧に解決。合わせて、管理会社の協力も得ながら合意形成活動を進め、本事業に参画してから約 5 年で合意に至った。

■従前・従後の規模について
従前マンション(渋谷コーポラス) 従後(施行再建マンション※2)
延べ床面積 3078.35 ㎡ ⇒3967.51 ㎡
専有面積 2066.90 ㎡ ⇒2860.47 ㎡
階数 地上 9 階建て ⇒ 13 階 地下 1 階
戸数 45 戸 ⇒55 戸 店舗 1 戸

■建替えまでの流れ及び今後の予定
2018 年 5 月 旭化成不動産レジデンスを再生検討パートナーとして選定
2018 年 9 月 再生検討に関する説明会 第 1 回実施
2018 年 11 月 第 1 回個別面談実施
2019 年 1 月 再生検討に関する説明会 第 2 回実施
2020 年 3 月 第 2 回個別面談実施
2021 年 11 月 全体説明会実施
2022 年 5 月 規約改正・建替え検討状況説明会開催
2022 年 10 月 事業計画説明会 長期修繕計画と建替え計画について説明
2022 年 11 月 第 3 回個別説明会
2023 年 3 月 建替決議
2023 年 11 月 建替組合設立認可
2023 年 11 月 建替組合設立
2024 年 3 月 権利変換認可予定
2025 年春頃 解体着工予定
2028 年 竣工予定

編集付記 2022年12月末時点の全国のマンションストック数は、約694.3万戸。そのうち旧耐震基準のストック数は、約103万戸に上る。老朽化したマンションの再生は、喫緊の課題と言えるだろう。旭化成レジデンスは、「四谷コーポラス」の建替え事業を始め「宮益坂ビルディング」の建替え事業などマンション再生の豊富な実績を持つ。権利調整など複雑な業務を遂行できたのも、経験と実績の表れだろう。建築費が高騰する中で、事業的に成り立つ案件は、今後限られてくると思われる。プロジェクトのこれからの動向に注目したい。

 

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