令和元年都道府県地価調査による基準地価が国土交通省から発表されました。令和2年都道府県地価調査は、全国約21,500地点を対象に実施され、令和2年7月1日時点の1年間の地価動向として、次のようなりました。(2020年9月29日 初掲載)
【全 国 平 均 】
全用途平均は平成29年以来3年ぶりに下落に転じた。用途別では、住宅地は下落幅が拡大し、商業地は平成27年以来5年ぶりに下落に転じました。
【三大都市圏】
住宅地は東京圏、大阪圏が平成25年以来7年ぶりに下落に転じ、名古屋圏は平成24年以来8年ぶりに下落に転じた。商業地は東京圏、大阪圏で上昇幅が縮小し、名古屋圏は平成24年以来8年ぶりに下落に転じました。
【地 方 圏】
全用途平均・住宅地は下落幅が拡大し、商業地は平成30年以来2年ぶりに下落に転じました。
背景として、この1年間のうち前半(令和元年7月1日~令和2年1月1日)は、交通利便性や住環境の優れた住宅地、 オフィス需要の強い商業地、訪問客の増加に伴う店舗やホテルの進出が見込まれる地域を中心に地価の回復傾向が継続していたと見られる。一方、後半(令和2年1月1日~令和2年7月1日)は、新型コロナウイルス感染症の影響による先行き不透明感から需要が弱まり、総じて上昇幅の縮小、上昇から横ばい又は下落への転化となったと見られます。
基準地価・・・各都道府県内から選んだその年の7月1日時点の基準地の標準価格のこと。国土利用計画法に基づいて都道府県などがまとめて発表する。公示地価が都市計画区域内を主な対象とするのに対し、基準地価は都市計画区域外の住宅地、商業地、工業地、宅地ではない林地なども含むため、平均的な地価動向に違いが生じます。
東京23区内商業地の上昇率が鈍化 銀座・歌舞伎町などの商業地が下落
東京23区内の地価トレンドも一変しています。令和元年と比べ変動率の鈍化が顕著なのが都心の商業地エリア。都心3区やインバウンドの激減の影響を受けている台東区などの上昇率鈍化が大きくなっています。
東京23区内で見れば、令和元年7月1日時点と比べ変動率がマイナスに転じている区はありません。しかし、圏域別変動率の東京圏・商業地域で「中央区銀座7丁目」が下落率トップのマイナス5.9%になっているように、下落地点は都心部中心に散見されます。
また、一戸建てやマンションの動きは、2020年7月以降かなり回復しているので、このまま下落に転じるとは言い切れませんので市場の動きに注視が必要です。
東京圏の上昇率ランキング1位は、住宅地が川口市並木元町55番4(『並木元町6-16』)の5.2%。商業地は、市川市八幡2丁目131番2 (『八幡2-16-6』)の15.8%でした。
【参考記事】2020年8月度の中古マンション成約件数は、対前年比+18.2%
とはいえ、ウィズコロナの時代になり働き方や暮らしに変化が出てきているのも事実です。ここ数年都市部を中心に上昇トレンドが続いた地価ですが、今後の社会環境・経済環境によっては地域差が出てきそうです。上昇一辺倒と考えない方が良いかもしれません。
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(2020年9月30日 令和2年都道府県地価調査 全国変動率地図 追加)