2021年3月度成約件数は、対前年比16.1%上昇 平米単価は9.2%上昇
公益財団法人東日本不動産流通機構より、 2021年3月度の首都圏不動産流通市場の動向について発表がありました。中古マンションの成約件数は前年同月比16.1%増加の4,228件となっています。これは、1990年5月の機構発足以来最高の成約件数です。
また、成約平米単価は前年同月比で9.2%上昇の59.02万円。前月からも大きく上昇しています。
また、成約価格は、前年同月比10.0%上昇の3,837万円となっています。
エリア別の成約平米単価の価格動向を見ると、東京都は79.31万円と前年比で11.6%上昇、神奈川県は、46.15万円と前年比で 7.1%上昇、埼玉県は33.62万円と前年比で0.7%上昇、千葉県は31.41万円と前年比で7.5%上昇となっています。前年同月比では、全ての地域が上昇しているものの前月比では東京都以外はマイナスになっています。
成約件数は全ての地域が大きく伸びており、東京都が前年同月比15.1%増加。神奈川県が19.1%増加、千葉県が13.0%増加、埼玉県が17.7%増加です。
新規登録物件数は、対前年同月比で減少傾向が続いています。2021年3月度の新規登録物件数は、対前年同月比-19.3%の13,648件。2021年3月末時点の在庫件数は、 34,701件で1年前と比べ24.9%減少し先月より1600件超も在庫を減らしています。
また、3月の首都圏における中古戸建住宅の成約件数は1,629件で、前年比プラス25.8%の大幅増となり9ヶ月連続で前年同月を上回り、1990年5月の機構発足以降の過去最高となりました。
また、3月の首都圏における中古戸建住宅の成約価格は3,466万円で前年比プラス11.5%上昇。5ヶ月連続で前年同月を上回り、前月比も2.2%上昇しています。
新築マンションの完売物件相次ぐ 供給は活発化する可能性も
新築マンションも「ブランズ桜新町」や「グランドメゾン センター北フロント」が完売するなど、売れ行きは堅調です。
好調な売れ行きを受けて新規物件の販売準備も進んでいます。低金利のうちにまとまった戸数を販売したいという思惑もあるかもしれません。様々な購入支援策もあるので秋口に向けて供給が活発化するかもしれません。
また、一部の不動産会社が新築分譲マンションを投資用に購入するなど不動産マーケットの過熱感を現すような動きも出てきています。
中古リノベーション会社も在庫不足が顕著になってきており、価格上昇の顕著な東京23区の中古マンション価格は、夏・秋にかけてもう一段上昇するかもしれません。
東京都内の中古マンション購入環境は、以前にもまして厳しくなっています。一方で、新築マンションの中には値ごろ感がある物件も目立ちます。マンション購入を検討している方は、新築と中古を比較しながら早めに動くことが大切だと思います。
参考【マネー現代】 2021年こそ、マンションの「買い時であり」「売り時である」納得の理由
【編集後記】
不動産会社が新築マンションを買う動きは、1980年代後半のバブル期によく見られた現象です。過熱感は、かなり高まっていると思います。リーマンショック直前のファンドバブルと呼ばれた2007年頃に、土地や一棟もの物件を仕入れてすぐ転売する不動産会社がかなりありましたが、業界歴の長い方がそのころ「彼らはただ買って、売っているだけ」と酷評していました。リーマンショック後に立ち行かなくなった企業もありました。
仲介件数が大幅に伸びているとはいえ、マンション、一戸建てともに売り物件を集めるのが難しくなっている中では、買取再販に参入する仲介会社が増えてくるかも知れませんね。自己売買をメインでするような会社は、利益相反になりがちですから注意が必要です(顧客の利益のためには高く買う必要があるが、企業の利益のためには仕入れ値を安く買わざるを得ない)。